実際の問題と解答
ここでは前回に引き続き群数列について学んでいきます。ノウハウはその1の記事で書いていますので、先に以前の記事を読むことをオススメします。
さて、今回扱うのは以下の問題です。
以下の数列について次の問題に答えよ。
$$\ 2\ |\ 4\ 6\ 8\ |\ 10\ 12\ 14\ 16\ 18\ |\ 20\ 22\ 24\ 26\ 28\ 30\ 32\ |\ \cdots$$
1. 第10群の最初の項と最後の項を求めよ
2. 数列の項 \(298\) は第何群の最初から数えて何番目にあるか
3. 第n群の項の総和を求めよ
初めにやることは問題を解くことではなく
第n群の最後の数は最初から数えて何番目かを知る
ことです。そのためには元の数列などいりません。群がどのように分けられているかに注目します。
群を見てみると群に入っている項数は1個、3個、5個、7個・・・と2個ずつ増えています。ということは群に入っている項数は等差数列的に増えていくことが確認できますので、第n群の中には
$$1+(n-1)\cdot 2=2n-1$$
個の項が入ることがわかります。前回の記事で説明した通り、第n群の一番最後の項は最初から数えて何番目にあるかというと
$$1+3+5+7+\cdots +2n-1$$
を計算することでわかりますね。例えば第2群の最後の項は\(1+3=4\)で計算できることを考えれば理解できるはずです。
もちろんこれは等差数列の和なので初項1、公差2、項数nより
$$1+3+5+7+\cdots +2n-1=\frac{1}{2}n(1+2n-1)=n^2$$
です。
ここでやっと元の数列に戻ります。元の数列は初項2、公差2の等差数列なので
$$a_{n}=2+(n-1)\cdot 2=2n$$
です。何度も強調しておきますが、この一般項のnは群のnではありません。数列の最初から数えて何番目なのかを表すものです。
ということは第n群の一番最後の「項」は最初から数えて\(n^2\)番目なので
$$a_{n^2}=2n^2$$
であることがわかります。大丈夫でしょうか。
さて、第n群がわかったということは第n-1群も簡単にわかります。なぜなら今までの話で出てきたn群のところをn-1群に変えてしまえばいいのです。
もっと簡単に言うなら、答えのnのところをn-1に置き換えればいいのですね。要するに
第n-1群の最後の項は最初から数えて\((n-1)^2\)番目であり、最後の項は\(2(n-1)^2\)である
ということです。まとめると
となります。これで準備は完了です。
1. 第10群の最初の項と最後の項を求めよ
これはもう答えがわかっているようなものです。第10群の最後の項は上の図を見れば明らかで、\(n=10\)とすればよく
$$2\cdot 10^2=200$$
です。また最初の項は、まず第9群の最後の項を求めておいて
$$2\cdot 9^2=162$$
です。その次の項が今欲しい第10群の最初の項です。ここで元の数列を考えてみると元の数列は等差数列で公差が2でした。ということは162の次の項はもちろん\(162+2=164\)ですので第10群の最初の項は 164 です。
2. 数列の項 \(298\) は第何群の最初から数えて何番目にあるか
これは一筋縄ではいかない気がしますがそうではありません。ここまで準備してきた私たちなら何も怖くないです。この問題はこう考えましょう。
298が第n群にあると仮定してそのnを求める
これを表すには次のように不等式を立てればよさそうです。
$$2(n-1)^2< 298\le 2n^2$$
第n群にあるということは第n群の最後の項である\(2n^2\)以下であり、第n-1群の最後の項である\(2(n-1)^2\)よりは大きくなるはずですものね。
これを解くのは大変そうに思いますがnはもちろん自然数なので次のように考えるとわかりやすいでしょう。
$$(n-1)^2< 149 \le n^2$$
これ以上は解きません。2乗して149に近くなるものを探して上の不等式に当てはまるnを求めます。
\(12^2=144、13^2=169\)なので\(n=13\)とすれば上の不等式を満たします。よってnは13で298は第13群に入っていることがわかりました。
では第13群を書き下してみましょう。
ここまで来たらもう細かいことは気にしません。13群は290から始まり、項は2ずつ値が増えていくわけですから298は5番目に出てきます。よって
298は第13群の最初から数えて5番目に出てくる
ことがわかりました。
3. 第n群の項の総和を求めよ
これは何も難しくはありません。第n群には項が2n-1個あり、初項は第n-1群の最後の項に2を足した\(2(n-1)^2+2\)。末項はもちろん\(2n^2\)。また項は2ずつ増えていくので等差数列であるから求める総和は
$$\frac{1}{2}\cdot (2n-1)\cdot [2(n-1)^2+2+2n^2]=\frac{1}{2}(2n-1)(4n^2-4n+4)=2(2n-1)(n^2-n+1)$$
です。
いったん広告の時間です。
終わりに
ここでは群数列の例題を通して理解を深めてきました。最初にやることはどんな問題でも同じです。とにかく群と元の数列を分けて考えること、そして組み合わせるときに自分が今何を求めてるのかを確認しながら問題にあたってください。必ずできます。何度もこのページに戻ってきて理解してください。
ではまた。
コメント
最後の(11)の解答、1/2×(2n-1)×(2n^2-2n+3)ではないですか?
コメントありがとうございます!確認したところご指摘いただいた通りでしたので修正させていただきました。管理人としてもとても助かります。これからもよろしくお願いします!
いつも拝見させていただいてとても助かっております!
最後の問題ですが、第n群の初項、末項ってそれぞれ2(n-1)^2+2、2n^2ではないですか??何回も考えてるんですけどわからなくて…よかったら返信お願いします!
コメントありがとうございます。そしていつも見てくださりありがとうございます!
確認しましたところその通りでした。項ではなく、何番目の方で計算をしておりました。
先ほど記事の方も訂正しましたのでご確認ください。和の計算も訂正しました。混乱させてしまい申し訳ありません。
ご指摘ありがとうございます。そして今後ともよろしくお願いします!