無限等比級数とは 導入と公式を解説

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等比数列を無限に足す

ここでやることは全く新しくありません。私自身もこれだけを取り上げて一つの記事にするのは少し疑問なのですが、高校数学では非常によく出てくるので、1つ記事使って解説しようと思います。

無限等比級数とは何かと言うと

 

等比数列の無限和

 

です。例えば

 

\(2\ ,\ 6\ ,\ 18\ ,\ 54\ ,\ \cdots\ ,\ 2\cdot 3^{n-1}\ ,\ \cdots\)

 

こんな数列を考えましょう。項は無限に続くとすると、これは初項 \(2\) 公比 \(3\) の無限等比数列です。

私たちはこの数列が収束するのか、発散するのかを簡単に考えることができました。それは「公比」を見ればよかったのですね。

公比 \(r\) \(-1<r<1\) の間にあるのなら無限等比数列は \(0\) に収束します。どんどん小さくなるので当たり前ですね。

\(r>1\) だとどうなるか。 公比が \(1\) より大きいとどんどん大きくなりますし、初項がマイナスだとどんどん小さくなるので発散します

もちろん公比が \(r<-1\) のようにマイナスだとプラスになったりマイナスになったりしますから「振動」してしまいますね。でも振動です。

\(r=1\) だとどんなに項が進んでもずーっと初項のままなので極限は初項の値になります。

というように公比の大きさで数列自体の極限がどうなるかを考えることができるのでした。ここまでが不安な人は

 

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これを見てから戻ってきてくださいね。

今回、私たちが考えるのは

 

\(\displaystyle2\ +\ 6\ +\ 18\ +\ 54\ +\ \cdots\ +\ 2\cdot 3^{n-1}\ +\ \cdots=\sum_{n=0}^{\infty}2\cdot 3^{n-1}\)

 

です。つまり等比数列を無限に足していったら果たしてどうなるのかを考えたいわけです。最後の式は和の記号で書いた時の表式です。

ですが私たちは無限和をどう計算すればいいか知っています。なんだったかというと

 

部分和を求めて、その極限をとる

 

これに尽きるのでした。無限に足すという行為はなんだかよくわからないので、無限和を考えるときには

 

一旦部分的なところまで和をとって、その後に極限を取ろう

 

という手法をとるのでしたね。無限等比級数でももちろん同じなので、まずは何も考えずにやってみることにしましょう。

部分和から無限等比級数を求める

先ほどの無限等比級数

 

\(\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}2\cdot 3^{n-1}=2\ +\ 6\ +\ 18\ +\ 54\ +\ \cdots\ +\ 2\cdot 3^{n-1}\ +\ \cdots\)

 

は初項が \(2\) 公比が \(3\) でしたから、部分和を求めようと思うと

 

\(2\ +\ 6\ +\ 18\ +\ 54\ +\ \cdots\ +\ 2\cdot 3^{n-1}\)

 

を求めればいいことになります。これはもちろん

 

\(\frac{2(3^{n}-1}{3-1}=3^{n}-1\)

 

ですね。等比数列の和は公式ですぐに求めることができます。

ですから無限等比級数を求めたければ

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}(3^{n}-1)\)

 

という極限を計算すれば良いことになります。結局は無限等比級数と言っても、部分和の極限なので新しいことは何一つないわけです。

これを計算することは造作もありません。先程確認した通り \(3^{n}\) の部分は極限を取ると

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}3^{n}=\infty\)

 

でしたから結局

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}(3^{n}-1)\)

 

は発散してしまいます。つまり

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}(3^{n}-1)=\infty\)

 

であるわけです。

こうなると無限等比級数も

 

公比で答えが変わる

 

ことがすぐにわかると思います。なぜなら一番答えに関わっているのは

 

\(r^{n}\)

 

の極限です。これはもちろん公比によって収束するか発散するかが決まっていたので

 

無限等比級数も公比で決まる

 

のです。当たり前っぽいです。

では公比がどうなった時に答えがどうなるのかを考察してみましょう。

無限等比級数の公式を考える

一般的に無限等比級数を考えることにしましょう。

初項を \(a\) 公比を \(r\) とすれば無限等比級数は

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}ar^{n-1}=a+ar+ar^{2}+\cdots +ar^{n-1}+\cdots\)

 

で表されますね。先ほどの例でやった通りです。この無限級数の部分和

 

\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}ar^{k-1}\)

 

です。\(k\) が出てきましたがこれは数学Bの数列でやっていたものと同じです。もちろんこれは等比数列の和の公式から

 

\(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}ar^{k-1}=\frac{a(1-r^{n})}{1-r}\)

 

と簡単に出せます。ここまではさっきと同じですね。

僕たちはこれから極限

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{a(1-r^{n})}{1-r}\)

 

を考えることで無限等比級数の答えを考えていくわけですが、もちろんこのままでは一つに定まりません

なぜなら何度も確認している通り公比によって答えが変わるからです。

ですがそれも全く問題になりません。だって私たちはこの

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}r^{n}\)

 

がどうなるかをもう知っているのですから。冒頭でも触れましたがこうでしたよね

 

Focus

無限等比数列の極限は 初項を \(a\) 公比を \(r\) をすると

\(-1<r<1\) の時

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a\cdot r^{n-1}=0\)

 

\(r>1\) の時

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a\cdot r^{n-1}=\infty\)

 

\(r<-1\) の時

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a\cdot r^{n-1}=\) 振動する

 

\(r=1\) の時

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a\cdot 1^{n-1}=\lim_{n\to\infty}a=a\)

 

 

\(r=-1\) の時

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}a\cdot r^{n-1}=\) 振動する

 

 

である。

 

 

ですからこの場合わけは変わらないです。それぞれについて無限等比級数も考えればいいですね。やってみます。

\(-1<r<1\) の時

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}r^{n}=0\)

 

より無限等比級数は

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{a(1-r^{n})}{1-r}=\frac{a(1-0)}{1-r}=\frac{a}{1-r}\)

 

になります。つまりこの時は無限等比級数が「収束」して

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{a(1-r^{n})}{1-r}=\frac{a}{1-r}\)

 

になるのです。

では \(r>1\) の時はどうでしょう。もちろん

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}r^{n}=\infty\)

 

より、\(r^{n}\) 部分は発散しますので、全体も発散してしまいます。つまり無限等比級数も発散します。

\(r<-1\) の時も同じですね。振動してしまうので極限はありません。

\(r=1\) の時はどうでしょう。これはそもそも部分和が変わってしまいます

部分和は、初項が \(n\) 個並ぶ数列の和になるので

 

\(a+a\cdot 1+a\cdot a^{2}+\cdots +a\cdot 1^{n-1}=na\)

 

になりますね。数学Bでやった気がします。これの極限をとるとすぐにわかるように

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}na=\infty\)

 

発散します。なんか発散とか振動してばっかりですね。

では最後に \(r=-1\) の時は?

 

\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}(-1)^{n}\)

 

振動しますので、極限はありません。なんということでしょう。

つまり無限等比級数において収束する条件はただ一つ

 

公比 \(r\) が \(-1<r<1\) である

 

ことだけです。

そしてその時の収束値は

 

\(\frac{a}{1-r}\)

 

です。もちろん初項は \(0\) 以外でお願いします。初項が \(0\) だと数列全てが \(0\) でなんの面白みもありませんから。

というわけでこれらを全てひとまとめにしておさらいしておきましょう。

 

Focus

初項 \(a\) ( \(0\) でない)、公比 \(r\) の無限等比級数

 

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}ar^{n-1}\)

 

 

 

\(-1<r<1\) の時 収束してその収束値

 

 

\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}ar^{n-1}=\frac{a}{1-r}\)

 

 

 

\(r\leq -1\ ,\ r\geqq 1\) の時は収束しない。

 

である。

 

 

なんかとてもシンプルになりましたね。無限等比級数なんておぞましい名前がついていますが、なんともわかりやすい結果となりました。

とにかく抑えるべきなのは

 

無限等比級数は公比を見るべし

 

ですね。

少し補足を。「収束しない」と先ほど書きましたが、これらは一つ一つ見てきた通り、それぞれ発散したり振動したりとバラエティはあります。

下にそれらもまとめておきますので気になる人はぜひ。

 

 

Focus

\(r\geqq 1\)の時 

 

発散するが、初項の符号によって正または負に発散する。

 

\(a>0\) の時 正の無限大に発散

\(a<0\) の時 負の無限大に発散

 

\(r\leqq -1\) の時

振動する。つまり極限はない。 

まとめ

無限等比級数も結局は部分和とその極限で片付けられました。私が最初に言っていた意味がここでわかることでしょう。高校の範囲で無限級数の特別なものはありません。部分和と極限計算さえわかれば計算できるはず。わからなかった人は少し戻って、極限計算を見直してみてください。必ずできます。

ではまた。

コメント

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