無限級数に新しいことはない?
ここまで無限数列・無限級数と学んできました。ここでひとまずまとめとして計算の練習をしてみましょう。
というのも無限級数は
数列の和 + 極限
であります。ですから、実は求められている知識は数学Bの数列の知識と、最初にやった数列の極限の知識です。
もちろんこの記事
にあるような無限級数の性質を使った極限の計算もあります。
ですがひとまず、無限級数を計算できるようにするには「数列の和」「極限」の2つを理解していないといけないのです。
練習問題をやっていくとそれがよく分かるので早速取り組んでみましょう。
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問題1
最初はこちら
\(S_{n}=\frac{1}{2\cdot 4}+\frac{1}{3\cdot 5}+\cdots +\frac{1}{(n+1)(n+3)}\)
さて、これはどうやれば計算できるでしょうか。
これは数学Bの数列でやりましたね。そう、「部分分数分解」です。分母が掛け算の時は疑うのでしたよね。
この時点で数列の知識が必要であることがわかります。無限級数と言いつつもまずやらなければいけないのは数列の和の計算なのです。
部分分数分解はまず
\(\frac{1}{(n+1)(n+3)}\rightarrow \frac{1}{n+1}-\frac{1}{n+3}\)
となるのではないかと仮定して、右の式を左の式の形にしてみるのでした。やってみると
\(\frac{1}{n+1}-\frac{1}{n+3}=\frac{(n+3)-(n+1)}{(n+1)(n+3)}=\frac{2}{(n+1)(n+3)}\)
となるのでつまり元の式は
\(\frac{1}{(n+1)(n+3)}=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{n+1}-\frac{1}{n+3}\right)\)
とできるわけです。覚えていますでしょうか。
ここに詳しく書いてありますが、ひとまずできたとして続けていきましょう。もちろんこの後は元の式が
\(S_{n}=\frac{1}{2\cdot 4}+\frac{1}{3\cdot 5}+\cdots +\frac{1}{(n+1)(n+3)}=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}-\frac{1}{4}\right)+\frac{1}{2}\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{5}\right)+\frac{1}{2}\left(\frac{1}{4}-\frac{1}{6}\right)\cdots +\frac{1}{2}\left(\frac{1}{n-1}-\frac{1}{n+1}\right)+\frac{1}{2}\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+2}\right)+\frac{1}{2}\left(\frac{1}{n+1}-\frac{1}{n+3}\right)\)
ですので少し複雑ですが、たくさん消えて残るのは
\(S_{n}=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{n+2}-\frac{1}{n+3}\right)\)
しかありませんね。計算を続けると
\(S_{n}=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{n+2}-\frac{1}{n+3}\right)=\frac{1}{2}\left(\frac{5}{6}-\frac{1}{n+2}-\frac{1}{n+3}\right)\)
とここまで計算できますね。これで部分和を求めることができたので、後はこの極限をとれば無限級数を求めることになるのでしたね。つまり
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{(n+1)(n+3)}=\lim_{n\to\infty}\frac{1}{2}\left(\frac{5}{6}-\frac{1}{n+2}-\frac{1}{n+3}\right)\)
より
\(\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{1}{2}\left(\frac{5}{6}-\frac{1}{n+2}-\frac{1}{n+3}\right)=\lim_{n\to\infty}S_{n}=\frac{1}{2}\left(\frac{5}{6}-\frac{1}{\infty}-\frac{1}{\infty}\right)=\frac{1}{2}\left(\frac{5}{6}-0-0\right)=\frac{5}{12}\)
です。ここまででわかる通りやはり無限級数の計算は
数列の和 + 極限
ですよね。新しいことはなんらないわけです。次も同じですのでやってみましょう。見通しが良くなるはずです。
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問題2
お次はこの問題
\(\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{\sqrt{2n-1}+\sqrt{2n+1}}=\frac{1}{\sqrt{1}+\sqrt{3}}+\frac{1}{\sqrt{3}+\sqrt{5}}+\cdots +\frac{1}{\sqrt{2n-1}+\sqrt{2n+1}}+\cdots\)
まとめ
無限級数を学習したらやはり計算練習をしなければなりませんが、題名で僕が示した「無限級数に新しいことはない」という意味が分かれば、計算練習として何をすべきかは明確ですね。そうです、「数列」と「極限」の練習です。これらがただ組み合わさったもの、それが「無限級数」であることがここまで読んだ皆さんはわかったはずです。無限級数は理解すればあとは計算。その計算も全て「数列」と「極限」です。数学はうまくできています。下からコツコツやれば必ずできるようになりますから戻ることを恐れずに勉強を続けましょう!
ではまた。
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