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不定形が出てきたときの極限はどうする? 判断の方法を解説

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不定形とはそもそも何?

極限の計算をしていく中で、勉強したての多くの人が思っていることは

 

代入すれば計算できるんでしょ

 

ということだと思います。高校数学では極限は厳密に説明しませんから無理もありません。ただ、数学Ⅲでは明らかに状況が変わりましたね。

それは

 

不定形

 

という形が出てくるということです。これは一体何かというと、簡単に言えば

 

計算不能(答えがわからない)という答えが返ってきてしまう

 

ということを意味しています。計算不能って何?と思う人もいると思うので、簡単に説明しましょう。

例えば私たちは、暗黙に \(0\) で割るということを認めていませんよね。ですから

 

\(\displaystyle \frac{5}{x}\)

 

なんていう式があった時に \(x\) に \(0\) を入れることをしません。というか「してはいけません」よね。もしそのような状況になりそうであれば、必ず場合わけをするなりしてその可能性を排除しなくてはならないはずです。

また、数学Ⅲでは「無限大」という量が出てきたので、新しく計算不能な状況が増えました。

例えば無限大を無限大で割るような

 

\(\displaystyle\frac{\infty}{\infty}\)

 

こんな形はイメージしようにもできません。ものすごく大きい数字(厳密には数字ではないのですが)ものすごく大きい数字で割ったらどうなるかはわかりません。この辺りに関してはこの記事

 

数列の極限の最大の注意 不定形とその意味
無限大は数字じゃない? 引き算は不定形 前回、数列の極限をやった時にこう思った人がいるんじゃないでしょうか。 もう最初から変形なんてせずに無限大とか入れて収束するかどうか調べればいいじゃん そう思いますよね。多分誰でも最初は考えるはずで...

 

に詳しく書いてありますし、不定形に関しても少し書いてあるのでぜひ参考にしてください。

また、この上の記事には書いていないのですが、不定形の形として

 

\(\displaystyle \infty \times 0\)

 

も重要です。片方は無限大にいくが、もう片方は \(0\) になってしまうタイプですね。

これも不定形です。無限大 \(0\)かけるという

 

全く逆の概念をかけること

 

は数学上してはいけないのです。意外と忘れがちな不定形の形なので覚えておくと良いでしょう。

もちろん無限大があっても不定形にならないパターンもあります。

例えば極限を考えたときに

 

\(\displaystyle \frac{0}{\infty}\)

 

となる場合は不定形ではなく答えは \(0\) です。

なぜなら

 

 

分子が \(0\) に近づくなら、その値はどんどん小さくなりますよね。

 

また、分母がものすごく大きくなると、その値はやはりどんどん小さくなります。

 

 

 

一見不定形に見えますが、そもそも私たちは「\(0\) を無限大で割る」という式を考えているわけではなく、あくまで極限なので、

 

近づけていったときにどうなるか

 

を考えなくてはならないのです。大丈夫でしょうか。極限を高校数学では厳密に考えることはできませんので概念的になりますが、イメージを持っておきましょう。

というわけでひとまず不定形の形をまとめます。

 

 

不定形は次の形!!

 

\(\displaystyle \frac{x}{0}\) (\(x\) は無限大を含む実数)

\(\displaystyle \frac{\infty}{\infty}\)

\(\displaystyle \infty -\infty\)

 

これは不定形ではないので注意。

 

\(\displaystyle \frac{0}{\infty}\)

いったん広告の時間です。

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不定形の判断方法

さて、ここまでで不定形とは何かがわかりました。不定形とは

 

答えがわからない = 求められない形

 

であると。つまり不定形になったらそれを避けなくてはならないということです。これは極限計算をする上での最重要課題でしたよね。

そして不定形には次の3つのパターンがあることがわかりました。

 

\(\displaystyle \frac{x}{0}\) (\(x\) は無限大を含む実数)

\(\displaystyle \frac{\infty}{\infty}\)

\(\displaystyle \infty -\infty\)

 

では、その極限が不定形であることを判断するためにはどうしたら良いでしょうか。

実はやり方は単純で、

 

代入してみる

 

これだけです。その極限が不定形になってしまうかどうかは

 

「極限を取る値を代入」

 

してその形が不定形であるかどうかを見てあげればすぐにわかってしまいます。

例えば

 

\(\displaystyle \lim_{x\to 1}\frac{x^{2}+3x-4}{x-1}\)

 

は実際に \(x=1\) を代入してみると、

 

\begin{eqnarray}
\lim_{x\to 1}\frac{x^{2}+3x-4}{x-1}&=& \frac{1^{2}+3\cdot 1 -4}{1-1}\\
&=&\frac{0}{0}
\end{eqnarray}

 

となってしまい、 \(0\) で割る形になってしまいましたね。これは不定形ですからこのままではダメで、変形なりの工夫をする必要があることがわかります。

また

 

\(\displaystyle \lim_{xto 0}\left(\frac{1}{x^{2}}-7\right)\)

 

はどうでしょう。これもすぐにわかりますが、

 

\begin{eqnarray}
\lim_{xto 0}\left(\frac{1}{x^{2}}-7\right)&=& \left(\frac{1}{0^{2}}-7\right)\\
&=&\frac{0}{0}-7
\end{eqnarray}

 

ですので不定形です。代入するだけでわかりますね。

もちろん

 

\(\displaystyle \lim_{x \to \infty}\frac{x}{x^{2}+4}\)

 

こんなのも

 

\begin{eqnarray}
\lim_{x\to \infty}\frac{x}{x^{2}+4}&=&\left(\frac{\infty}{\infty+2}\right)\\
&=&\frac{\infty}{\infty}
\end{eqnarray}

 

ですから、無限大を無限大で割る極限です。これも不定形です。

 

このように代入してある程度計算すると不定形の形に落ち着いてしまったらそのままではいけないということがわかります。

このような不定形になった場合は何かしらの工夫が必要です。僕のサイトでは数列の極限から関数の極限まで「流れを重視した」解説を行っているのでぜひ数列の極限の最初から順々に見てみてください。

 

https://math-souko.jp/%e6%95%b0%e5%ad%a6%e2%85%a2/

 

というわけで不定形の判断方法は

 

 

代入して、計算 => 不定形に落ち着いたらそれはそのままでは計算不能

 

 

です。ひとまず代入することが簡単な判断方法です。

まとめ

今回は不定形に焦点を当てて解説をしました。代入して不定形と判断できれば、そのままでは計算不能なので工夫する方向性を見出すことができます。極限の問題が出てきたら一度立ち止まって、何をすべきかを考えると良いですね。

ではまた。

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