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特性方程式を使う漸化式(\(a_{n+1}=pa_{n}+q\) 型)

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

解ける漸化式を増やす

いままで扱ってきた基本の数列、等差・等比・階差数列に関しては漸化式を考えてきました。

しかし、それだけならば漸化式を考える意味はあまりないです。これらの基本数列の漸化式を上手に使って、新しい漸化式の形を解けるようにすることが重要です。すなわち、

解ける漸化式の形を増やす=一般項を求められる数列が増える

ことになります。今回はそれの代表例である形を説明します。今後はこの形も「これなら解ける形だ!」と思えるようにしましょう。

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\(a_{n+1}=pa_{n}+q\) 型

さて、今回は次の漸化式を考えていきます。

$$a_{n+1}=3a_{n}+6$$

$$a_{1}=2$$

形を見ると、これは\(a_{n+1}=pa_{n}+q\)の形になっているのでそう呼ばれます。

これは今まで見てきた基本数列ではないですね。ということは解けない・・・となってしまうのですが、ある工夫をすると解ける形になるのです。

その工夫とはなにかというと

漸化式を変形する

ことです。上の漸化式は以下のように変形しても大丈夫です。

$$a_{n+1}+3=3(a_{n}+3)$$

なぜこの形にしたのかは以下で話すとして、この変形は別に変なことはしてませんね。展開してやれば

$$a_{n+1}+3=3a_{n}+9$$

$$a_{n+1}=3a_{n}+6$$

このように元に戻りますから、ただの式変形です。これを「とりあえず」認めて先に進むとしましょう。

さて、漸化式が\(a_{n+1}+3=3(a_{n}+3)\) の形になったことで何がうれしいのでしょうか。それは\(a_{n}+3=b_{n}\)とすると\(a_{n+1}+3=b_{n+1}\)ですから、漸化式が

$$b_{n+1}=3b_{n}$$

と書けてしまうのです。本当にこんなことをしていいのかと思うかもしれませんが、全く変なことはやっていません。元の数列に3を足したところで、数列の隣り合う項の関係は崩れませんよね。

なのでここからは\(a_{n}\)のことはいったん忘れて、置き換えた\(b_{n}\)について考えます。すると見えてくるものがあります。

「これって等比数列の形じゃあ・・・」

こう思った人は素晴らしいです。先ほどの漸化式の変形はこのためにやったのですね。

というわけで等比数列なら解けます。漸化式は形がわかったらもう用済み。ここから情報を抜き取って一般項を求めてしまいます。

公比は見ての通り3です。では初項は何でしょう。

この数列はもちろん\(b_{n}\) ですから初項は\(b_{1}\)です。よって\(b_{n}\)は\(a_{n}\)と関係づいていたはずなので

$$b_{1}=a_{1}+3=2+3=5$$

となります。よって初項は5ですので、\(b_{n}\) の一般項

$$b_{n}=5\cdot 3^{n-1}$$

です。ここまで来たら置き換えを元に戻します。すると\(b_{n}\)は\(a_{n}+3\)だったので

$$a_{n}+3=5\cdot 3^{n-1}$$

$$a_{n}=5\cdot 3^{n-1}-3$$

となってほしかった元の数列の一般項を求められました。

めでたしめでたしです。

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特性方程式

さて、\(a_{n+1}=pa_{n}+q\)型の漸化式はこれで解けたわけですが、一つ無理があるところがあります。それは変形のところです。

すぐにあの変形が思いつけばいいですが、普通に考えて無理です。ここができないと話が始まらないですよね。

これを解消するのが

特性方程式を使う

ことです。かっこよく書いてありますが、ただ単に漸化式を変形するのに便利だから名前がついています。早速説明しましょう。

さきほどの問題を例に挙げます。先ほどは

$$a_{n+1}=3a_{n}+6$$

$$a_{n+1}+3=3(a_{n}+3)$$

と変形出来ましたが、これは次のようなプロセスを踏んで行うことができます。

ここの2番目の式を特性方程式と呼んでいます。作り方はいたって簡単。元の式の\(a_{n+1},a_{n}\)のところを適当な文字\(\alpha\)と置いただけです。

一番下は今欲しい形ができていて、わかってないのはこっちで勝手に置いた\(\alpha\) だけです。特性方程式なる所以は、その\(\alpha\) を求められる式が2番目の式になっているからです。

2番目の式を計算すると

$$\alpha=3\alpha +6$$

$$-2\alpha =6$$

$$\alpha=-3$$

ですので、これで簡単に

$$a_{n+1}+3=3(a_{n}+3)$$

と変形できるわけです。素晴らしいです。

終わりに

今回は基本の数列の漸化式にプラスして新しい形も解けるようになりました。特性方程式という便利なツールを使えば、今回説明した\(a_{n+1}=pa_{n}+q\)型の漸化式は扱えます。この形が出てきたらすぐさま解けるように練習しておきましょう。

ではまた。

 

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