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円の接線の方程式を求める公式と証明

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

この記事のトピックは「円の接線の方程式の公式とその派生系、および使い方」です。

 

 

円の接線はどうやって求めればいいのか

円と直線の関係を学んだときに円と直線が接する場合というのを考えました。

私たちはどういうときに円と直線が接するかを判断することができるようになりましたが、逆に接しているという状況からその直線を求める、つまり円の接線を求めることは今のところできません

ですので今回はその接線を求めることを考えていきます。

状況としては次のようなものを考えましょう。

 

 

円の方程式がわかっていて、接点の座標が分かっている状況です。このときにこの接線の方程式を求めてやろうというわけです。

さて、どうしたら良いでしょうか。接線に関する情報は何もないように思えますが・・・

こう考えてみるのはどうでしょう。円と直線が接するということは

 

 

このように「円の中心と接点を結んだ線分」「接線」必ず垂直になります。これは幾何学の範囲で学んだことです。

ということは、このように考えるのはいかがでしょうか。

 

 

接線の方程式は、円の中心と接点を通る直線と垂直に交わる

 

と。直線が垂直・・・?なんか聞き覚えがありますよね。

そうです。直線同士が垂直になっている時は傾きに法則があったではありませんか。

 

それぞれの傾きをかけると \(-1\) になる

 

これを使えば接線の傾きが分かりそうです。実際にやってみましょうか。

 

まず円の中心と接点を結ぶ直線の傾きを求めます。これは「2点を通る直線」なので簡単に分かりますね。

中心は原点なので今回は \((0,0)\) 、と接点 \((x_{1},y_{1})\) を使えば

 

\(\displaystyle \frac{y_{1}-0}{x_{1}-0}= \frac{y_{1}}{x_{1}}\)

 

ですね。つまり接線の傾きを \(m\) とでもすれば

 

\(\displaystyle m\cdot \frac{y_{1}}{x_{1}}=-1\)

 

が成り立ちますね(ちなみに \(y_{1}\) は \(y_{1}\neq 0\) とします。\(y_{1}= 0\) のときは傾き \(0\) の縦の接線になるので公式を使うまでもないからです。\(x_{1}\) が \(0\) の時も同様です。)。

ですから

 

\(\displaystyle m=-\frac{x_{1}}{y_{1}}\)

 

となります。これで接線の傾きが分かりました。

実はこれさえわかればもう接線の方程式を求めることができます。そうです。通る点が一つありますからね。

接線は必ず接点を通るので、傾きと接点を使えば接線の方程式は

 

\(\displaystyle y-y_{1}=-\frac{x_{1}}{y_{1}}(x-x_{1})\)

 

ですね。あとはこれを整理します。

 

\begin{eqnarray} y-y_{1}&=&-\frac{x_{1}}{y_{1}}(x-x_{1})\\[5pt] yy_{1}-y_{1}^2&=&x_{1}(x-x_{1})\\[5pt] yy_{1}-y_{1}^{2}&=&xx_{1}-x_{1}^2\\[5pt] xx_{1}+yy_{1}-x_{1}^2-y_{1}^2&=&0\end{eqnarray}

 

なのですが、ここで接点はもちろん円上にあるので、円の方程式に代入しても方程式は成り立ちます。つまり

 

\(x_{1}^2+y_{1}^2=r^2\)

 

が出てくるのです。これを使えば

 

\begin{eqnarray} xx_{1}+yy_{1}-x_{1}^2-y_{1}^2&=&0\\[5pt] xx_{1}+yy_{1}-(x_{1}^2+y_{1}^2)&=&0\\[5pt] xx_{1}+yy_{1}-r^2&=&0\\ xx_{1}+yy_{1}&=&r^2 \end{eqnarray}

 

ですね。つまり

\(xx_{1}+yy_{1}=r^2\)

 

 

 

という状態にある時の接線の方程式なのです。出すことができました。

 

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公式として覚えるのが得策

さて、この手順を見て分かる通り、めっちゃめんどくさいですよね。いちいち傾きを求めてそれと垂直な傾きはこれで、接点を通るから・・・とするのはごめんです。

ですから最後に出てきたこの形

 

\(xx_{1}+yy_{1}=r^2\)

 

を公式として採用してしまった方が良さそうです。これまでの知識を使えばもちろん求めることは可能ですが、流石に大変なのでこの最後の形を公式として認めることにしましょう。

重要なことは前提条件です。この公式が使えるのは

 

\(x^2+y^2=r^2\) という円に接点 \((x_{1},y_{1})\) で接する接線の方程式

 

の時です。

ではもし円が原点中心でない場合はどうしましょうか。

 

 

こんな状況ですね。さて、どうしたものか・・・

と言いたいところですが、これは実は簡単です。今までの話を全て平行移動してしまえばいいわけですから。

先ほどの図のような中心が \((a,b)\) の円

 

\((x-a)^2+(y-b)^2=r^2\)

 

上にある \((x_{1},y_{1})\) を接点とする接線の方程式はどう考えるかというと、

先ほどの公式を使うために円の中心を原点に戻せば、

 

 

このように「原点が中心の円」「接点が \((x_{1}-a, y_{1}-b)\) である接線の方程式」を考えることになります。ここがミソです。

そうすると先ほど私たちが覚えた接線の公式が使えて

 

\((x_{1}-a)x+(y_{1}-b)y=r^2\)

 

とできますね。あとは円を元の位置に戻せばいいのですが、もちろんそのときには接線の方程式もその分だけずれますから

\(x\) 軸方向に \(a\) 、\(y\) 軸方向に \(b\) だけ平行移動すれば良いので

 

\((x_{1}-a)x+(y_{1}-b)y=r^2\) \(\rightarrow\) \((x_{1}-a)(x-a)x+(y_{1}-b)(y-b)=r^2\)

 

とできるのです。

注意点としては円の方程式をずらしたときは点自身を動かしたので単純に点から移動した分を引き式を平行移動をする場合は式自体がずれるのでやはり引き算になることです。

それぞれ逆方向に移動しているのに同じ \(x-a\) みたいな形がなぜ出てくるのか疑問に思う人もいるかもしれないのでここで説明しておきました。

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円の接線の公式を実際に使ってみる

では長くなりましたが、最後に公式を使ってみて終わりにしましょう。

 

例題\(x^2+y^2=25\) 上の点 \((2,\sqrt{21})\) における接線の方程式を求めよ

 

これは簡単。ただ公式に代入するだけですね。\(x_{1}x\) の形を思い浮かべれば

 

\(2\cdot x+\sqrt{21}\cdot y = 25\)

 

ですから、

 

\(2x+\sqrt{21}y = 25\)

 

となります。もちろん

 

\(\displaystyle y=-\frac{2}{\sqrt{21}}+\frac{25}{\sqrt{21}}\)

 

としてもOKです。この場合は有理化しておいた方が良いですね。

 

\(\displaystyle y=-\frac{2\sqrt{21}}{21}+\frac{25\sqrt{21}}{21}\)

 

次はこちら

 

例題点A\((1,3)\) から、円 \(x^2+y^2=5\) に引いた接線の方程式と接点の座標を求めよ。

 

この問題のポイントは与えられているのが接点ではないということです。接点がないと僕たちは公式を使えませんから、まず接点を置くところから始めます

 

なければ置く。これ鉄則です。

 

今回は接点の座標を \((x_{1},y_{1})\) としましょう。そうするとまず接点は円上にあるので

 

\(x_{1}^2+y_{1}^2=5\)

 

が成り立つことを確認しておきます。次に、接線の方程式はもちろん

 

\(x_{1}x+y_{1}y=5\)

 

ですね。円の方程式がわかっているので \(r^2\) は \(5\) にできます。

ではこれが今どうなっていればいいかというと

 

 

状況としてはこんな図をイメージできればいいでしょう。ある点から接線を引くということはその点を通る接線を引くのと同じですね。

ですから接線の方程式に点Aの座標を代入したら成り立たなくてはならないので

 

\(x_{1}\cdot 1+y_{1}\cdot 3=5\)

 

です。ここから

 

\(x_{1}+3y_{1}=5 \tag{1}\)

 

ですね。一つ条件式ができました。そしてもちろん先ほど確認した

 

\(x_{1}^2+y_{1}^2=5\tag{2}\)

 

も成り立ちますからここから \(x_{1}\) と \(y_{1}\) が出せそうです。

(1)より

 

\(x_{1}=5-3y_{1}\)

 

なので (2) に代入して

 

\begin{eqnarray}(5-3y_{1})^2+y_{1}^2&=&5\\[5pt]25-30y_{1}+9y_{1}^2+y_{1}^2&=&5\\[5pt]10y_{1}^2-30y_{1}+20&=&0\\[5pt]y_{1}^2-3y_{1}+2&=&0\end{eqnarray}

 

より

 

\((y_{1}-1)(y_{1}-2)=0\)

 

なので

 

\(y_{1}=1\ ,\ 2\)

 

となります。先ほど図でも示した通り接線は「二本」かけそうだったのでこの答えは良さそうです。

ここから \(x_{1}\) を出すとそれぞれについて

 

\(y_{1}=1\) の時 \(x_{1}=2\)

\(y_{1}=2\) の時 \(x_{1}=-1\)

 

となるので、接線の方程式に代入すれば

 

\(2x+y=5\) で 接点 \((2,1)\)

\(-x+2y=5\) で 接点 \((-1,2)\)

 

となりますね。ちゃんと二つ出てきました。

まとめ

今回は円の接線の方程式を実際に出すことを考えました。いろいろ出てきましたが最終的には形を覚えて使えるようにするのが重要です。最初は戸惑うかもしれませんが問題を通してたくさん使って手に馴染ませると良いでしょう。

ではまた。

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