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媒介変数(パラメータ)表示とは グラフの書き方と考え方

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

この記事のトピックは「媒介変数表示の意味とグラフ」です。

 

 

媒介変数表示の意味

二次曲線で初めて出てくるこの「媒介変数」。これはいったいなんなのでしょうか。

簡単にいうとこうです。

 

 

 

ある \(y\) と \(x\) の関数を「分けて」、それぞれで考える

 

 

何やら意味のないことをやっている気がしますが、この媒介変数表示をしないと式が立てづらい(わかりづらい)ものもこの世の中には存在していますので意外と役に立つのです。

この辺りの説明は別に記事に譲るとして、まずは簡単な例から考えてみます。

まず媒介変数表示とは例えばこんな風に表されます。

 

\(x=t+2\ ,\ y=t^2+4t\)

 

何やら \(t\) がありますね。今回はこの \(t\) を動かすことによって座標を決めていきます

例えば \(t=1\) と僕たちが決めたとすると、この式から \((x,y)\) の組が

 

\(x=1+2=3\)

\(y=1^2+4\cdot 1=5\)

 

となり、 \(t=1\) に対応する \(x,y\) が \(x=1,y=5\) であることがわかります。つまり \(t\) が変数となって \(x\) と \(y\) を決めています。

\(t\) を変化させることで \(x\) と \(y\) の関係性が決まるので、実際には \(x\) と \(y\) の関数なのに、 \(t\) という新たな「変数」が「媒介」しているように見えます。

ですのでこの \(t\) のことを「媒介変数」と呼び、このように \(x, y\) の関数を \(t\) によって「分けて」関数を表記する方法「媒介変数表示」と呼ぶことにします。

これが媒介変数表示の全てです。

つまり媒介変数表示は

 

 

 

\(x\) と \(y\) がそれぞれどのように変化していくかを追っていく関数の表示方法

 

 

とも言えます。

例えば円の方程式は \(x^2+y^2=a^2\) ですが、これは

 

 

このように三角比や三角関数で考えたような \(x\) 軸から測った角度 \(\theta\) (動径)を使えば

 

\(x=a\cos\theta\)

\(y=a\sin\theta\)

 

とすることができます。これは媒介変数を \(\theta\) をして、\(x\) と \(y\) がそれぞれどのように動くかを考えた結果出てきますね。

\(\theta\) を動かせば \((x,y)\) の点は円を描きながら動きます。これは一つの「円」の媒介変数表示です。

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媒介変数表示されていたら元に戻す

さて、しかしながら僕たちは媒介変数表示されていると「その関数が一体何なのか」とてもわかりづらいです。

例えば先ほどの

 

\(x=t+2\ ,\ y=t^2+4t\)

 

この媒介変数表示された関数もおそらく私たちが知っている何かしらの関数だと思うのですが、このままだとわかりません。

なぜなら媒介変数 \(t\) が入っていることにより間接的に \(x\) と \(y\) が関数になっているだけなので、僕たちが今まで使っていた \(x\) と \(y\) の関数になっていませんからね。

例えば

 

\(y=x^2+3\)

\(\displaystyle y=\frac{1}{2}x+3\)

 

は上は二次関数・下は一次関数であるな、とすぐにわかりますよね。このように、当たり前ですが直接 \(x\) と \(y\) の関係になっていればどんな関数かを判断することができます

というわけで僕たちは媒介変数表示されている関数があった場合、媒介変数がなくなればいいのですから、

 

\(t\) を消去して \(x\) と \(y\) の関数にしてしまう

 

ことをすれば良さそうですね。実際にやってみましょう。

 

\(x=t+2\ ,\ y=t^2+4t\)

 

これがどんな関数かを調べたい場合、\(x=t+2\) から簡単に

 

\(t=x-2\)

 

とできますから、これを2つ目の式に代入すれば

 

\begin{eqnarray} y&=&t^2+4t\\[5pt]y&=&(x-2)^2+4(x-2)\\[5pt]y&=&x^2-4x+4+4x-8\\[5pt]y&=&x^2-4\end{eqnarray}

 

となりますから、こうすれば一目瞭然で、実際には二次関数だったのです。

ですから基本的に、媒介変数を消去すれば私たちのなじみ深い関数が現れてくれます。

まとめると

 

 

媒介変数表示された関数は媒介変数を消去して、 \(x\) と \(y\) の関数にする

 

 

ことでどんな関数なのかが見えてきます。

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例題を解いて理解を深める

一問だけ例題を解いてみましょう。

 

例題

次のように媒介変数表示される曲線がある。これを次の手順に従って \(t\) を消去し、 \(x,y\) の方程式を求めよ。

 

\(\displaystyle x=\frac{1}{3}\left(t+\frac{1}{t}\right)\ ,\ y=\frac{1}{3}\left(t-\frac{1}{t}\right)\)

 

(1) \(x+y\) と \(x-y\) をそれぞれ \(t\) の式で表す

(2) \(t\) を消去する

 

媒介変数表示はとにかく媒介変数を消去すればいいので、全部簡単に思えます。が、この問題はそう簡単ではありません。すぐに \(t=\) とできないからですね。

こういう問題は少し頭を捻って考えてみます。計算できましたでしょうか?では解答です。

例題 (1)

まず準備として (1) にもあるとおり \(x+y\) と \(x-y\) を考えます。これは対称式になっているからこの発想が浮かびます。対称式については

 

対称式の考え方とコツ
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を見ると良いでしょう。とりあえず問題に従って計算してみると

 

\begin{eqnarray}x+y&=& \frac{1}{3}\left(t+\frac{1}{t}\right)+\frac{1}{3}\left(t-\frac{1}{t}\right)\\[5pt] x+y&=&\frac{1}{3}t+\frac{1}{3}t+\frac{1}{3}t-\frac{1}{3}t\\[5pt] x+y&=&\frac{2}{3}t\end{eqnarray}

 

ですね。同じように \(x-y\) も

 

\begin{eqnarray}x-y&=& \frac{1}{3}\left(t+\frac{1}{t}\right)-\frac{1}{3}\left(t-\frac{1}{t}\right)\\[5pt] x-y&=&\frac{1}{3}t+\frac{1}{3}t-\frac{1}{3}t+\frac{1}{3}t\\[5pt] x-y&=&\frac{2}{3t}\end{eqnarray}

 

とできます。こうすると \(t\) が一つになってわかりやすい形になるのですね。これなら計算が進められそうです。

例題 (2)

ここまで来ればあとは \(t\) を消去するだけですので、

 

\(\displaystyle x+y=\frac{2}{3}t\)

 

より

 

\(\displaystyle t=\frac{2}{3}(x+y)\)

 

ですので、 \(x-y\) の結果に代入すれば

 

\begin{eqnarray} x-y&=&\frac{2}{3t}\\[5pt] x-y&=&\frac{2}{3\cdot \frac{2}{3}(x+y)}\\[5pt] x-y&=&\frac{4}{9(x+y)}\\[5pt](x-y)(x+y)&=&\frac{4}{9}\\x^2-y^2&=&\frac{4}{9}\\[5pt] \frac{x^2}{\frac{4}{9}}-\frac{y^2}{\frac{4}{9}}&=&1\end{eqnarray}

 

となるので結果としては \(\displaystyle a=\frac{2}{3}\)\(\displaystyle b=\frac{2}{3}\) の双曲線であることがわかりました。実際にグラフを書くと

 

 

こんな感じですね。双曲線を無理やり媒介変数表示すると問題文のようになるとも考えられるので、面白いですね。

いろいろな二次曲線の媒介変数表示はこちらから

僕たちがこれまで学んできた二次曲線についても媒介変数表示を考えることができます。これらについては

記事リンク

こちらで詳しく説明しているのでぜひ参考にしてみてください。 \(\sin\) と \(\cos\)、 \(\tan\) が活躍しますよ。

まとめ

今回は媒介変数表示について簡単に解説しました。媒介変数表示は基本的に関数を「分けて」考えるものですが、その分け方は実は様々です。実用的にはとにかく媒介変数を消去することでどんな関数なのかをみることが重要です。その方法を学ぶのがこの分野の軸になってきます。

ではまた。

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二次曲線
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コメント

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