等差数列を漸化式で
ここでは等差数列を漸化式で表したらどうなるかを見ていきましょう。例えば次の数列を考えます。
$$3\ 5\ 7\ 9\ 11\ 13\ 15\ \cdots$$
この数列は初項が3、公差が2の等差数列です。ではこれを漸化式で書いたらどうなるでしょうか。
漸化式は隣り合う項の関係を示す式です。等差数列の場合隣り合う項との関係は
差が等しい
この一言に尽きます。その差はもちろん公差です。ということは漸化式で書くと次のように書けるのではないでしょうか。
$$a_{n+1}-a_{n}=2$$
もちろん初項を指定して\(a_{1}=3\)としておきます。こうすると漸化式と初項の情報だけで上の数列を表せていますね。
例えば次の漸化式を考えてどんな数列かを判断し、一般項まで求めてみましょう。
$$a_{1}=2$$
$$a_{n+1}-a_{n}=4$$
初項は2ですからそれはいいとして、次の項は何になるでしょうか。漸化式を見れば\(a_{n+1}=a_{n}+4\)であることがわかるので
$$a_{2}=a_{1}+4=6$$
です。当たり前だと思った人はそれでいいのです。わかっている証拠です。これを繰り返せば、この漸化式があらわす数列は
$$2\ 6\ 10\ 14\ \cdots $$
となり、等差数列であることがわかります。これの一般項は等差数列なので
$$a_{n}=2+(n-1)\cdot 4=4n-2$$
と計算できました。
さて、ここで知っておいてほしいことがあります。それは一般項を出すときです。
今やったことを思い返してみましょう。ここでは等差数列であるとわかってから漸化式を全く使っていないのです。漸化式をなにか変形したりしたわけではなく、漸化式を見てこれは等差数列であると判断したことが重要なのです。
漸化式はあくまで数列を表しているものにすぎません。漸化式を見て数列がわかったのなら漸化式をそれ以上いじくりまわす必要はありません。そこからは今まで私たちが学習してきた知識の出番なのです。
今後の漸化式では漸化式を変形する場面も出てきます。ですが押さえてほしいのは漸化式から直接一般項が出てくるわけではなく
漸化式から情報を抜き取り、一般項を思い出して求める
ということです。これの意味は後半になるにつれわかってくると思いますので今は頭の片隅に置いておきましょう。
少し話がそれましたが等差数列を漸化式で表した場合
$$a_{n+1}-a_{n}=d$$
(\(d\) は公差)
で表されます。逆にこの形の漸化式が出てきたら等差数列だ!と思わなくてはならないのです。
等比数列を漸化式で
等差数列と同じく等比数列も漸化式で書いてみましょう。実は等比数列の漸化式がこれから先、最も多く出てきます。ものすごく大事です。
等比数列はある項に一定の数(=公比)をかけると次の項になるのでした。これを漸化式で表すと
$$a_{n+1}=ra_{n}$$
となりそうです。もちろん\(r\)は公比です。
例えば
$$a_{n+1}=3a_{n}$$
で\(a_{1}=2\)の漸化式を考えるとしましょう。初項は2なので第2項を考えます。
この漸化式によるとある項に3をかけると次の項になると言っているので
$$2\ 6\ 18\ 54\ \cdots $$
となることはすぐにわかるでしょう。これはまさしく等比数列で、初項が2、公比が3なので一般項は
$$a_{n}=2\cdot 3^{n-1}$$
となります。
まとめると、等比数列の漸化式における形は
$$a_{n+1}=ra_{n}$$
(\(r\)は公比)
です。
いったん広告の時間です。
終わりに
ここでは漸化式を使って今まで学習してきた等差数列を等比数列を考えてきました。重要なことは漸化式を見たときに「これは等差数列を表している」とか「これは等比数列だから一般項は・・・」とできるかどうかです。これからやっていくことは未知の漸化式ですから、基本的な形がわかっていないと太刀打ち出来ません。
ではまた。
コメント