余弦定理を覚える
余弦定理とは、その名の通り余弦=\(\cos\) が出てくる公式です。これもやはり三角形に対して適用するものになります。この余弦定理は正直なところ、正弦定理よりも使い勝手が良いです。今後は正弦定理よりも余弦定理を使うことの方が多いかもしれません。
それはそうとまずは公式を説明しましょう。三角形の3辺と角度一つに対して使います。例えば下の図のような状況の時は
$$c^2=a^2+b^2-2ab\cos\theta$$
という式を作れます。これが余弦定理です。注目してほしいのは\(c\)と\(\theta\)の位置です。やはりこれも正弦定理と同じように向かい合っている関係になっていることがわかるでしょう。
なので使うときにはまず「角度」に注目して、その反対の辺から式を作っていくと楽です。私は実際にそう作っています。
要するに、まずわかっている or 三角比がわかる角に注目します。そしてその対辺(わかっていなかったら文字で置いてください)の2乗からスタートするのです。式を見ればわかりますがその辺は右にはもう出てきません。右辺に出てくるのはさっき選んだ文字以外です。これで単純な公式使用ミスも防げます。
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余弦定理を使ってみる
ここも物は試しです。実際に問題にあたってみましょう。
例えば次の図の\(AC\)の長さを求めてみましょう。
正弦定理は使えません。なぜなら角が一つしかありませんし、その反対の辺もわからないからです。ですが余弦定理ならいけます。
まず角度に注目します。\(60^\circ\)です。その反対の辺を次に考えると今欲しい\(AC\)なので、とりあえずそのまま\(AC\)と書くことにしましょう。
ここまでは頭の中ではここまで描けます。
$$AC^2=\cdots\cdots \cos 60^\circ$$
あとはまだ使ってない4と6を使うだけです。マイナス2に注意します。
$$AC^2=4^2+6^2-2\cdot 4\cdot 6\cos 60^\circ$$
4と6は順番は関係ありません。どちらでもいいです。というわけでこの三角形に余弦定理を適用できました。あとは計算するだけなので計算すると\(\cos 60^\circ=\frac{1}{2}\)なので
$$AC^2=28$$
です。これはあくまで2乗なので気を付けましょう。もちろん長さなのでプラスをとって
$$AC=\sqrt{28}=2\sqrt{7}$$
です。何となく使い方はわかったでしょうか。できたら次に進みましょう。
次はこんな問題。
この図の\(AB\)の長さを求めてみましょう。
これもやはり正弦定理は使えませんね。余弦定理も少し不安に思うかもしれませんが、実際に当てはめるとその使い勝手に感動するでしょう。
ここでも角度に注目します。同じ\(60^\circ\)ですね。その対辺は\(\sqrt{13}\)ですからこれの2乗からスタートです。求めたい辺がここになくても恐れずに適用してみてください。\(AB\)はわからないのでそのまま書きます。
$$(\sqrt{13})^2=AB^2+3^2-2\cdot 3\cdot AB\cos 60^\circ$$
もう少し整理してみましょう。
$$13=AB^2+9-3AB$$
ここまで来たら少し勘づいている人がいるのではないでしょうか。そうです、これは2次方程式になっているのです。もしわかりづらかったら\(AB=x\)として書き直すとよいです。
$$13=x^2+9-3x$$
これをみて\(x\)を出しなさいと言われたらこうしたくなりますよね。
$$x^2-3x-4=0$$
これですっきりしました。2次方程式を解くだけです。解きます。
$$(x-4)(x+1)=0$$
より
$$x=4\ ,\ -1$$
ですがもちろん辺の長さはプラスなので
$$x=4$$
すなわち
$$AB=4$$
となるわけです。どうでしょうか。余弦定理を「当てはめてみた」だけでこれだけできてしまうのです。すごいことですね。
ここまでやってわかったと思いますが、余弦定理は非常に柔軟です。どこかが1つわかっていない状況であればどんな形でも出せてしまいます。有用性は高いです。
終わりに
余弦定理をついに習得しました。余弦定理は問題に問われやすい理由が上記の使い勝手の良さからもわかります。4つの情報のうちどれか3つでいいのです。それがわかっていればわからない1つが出せてしまいます。皆さんもまずは余弦定理を使いこなすところから。そうすればいろいろな問題に対応できるようになるはずです。
ではまた。
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