「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

三角関数講座その1(合成と最大値)

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今回の問題はこちら。

制限時間は6分です。自力で解きましょう。解いてから下の解説に移ってくださいね。

 

 

 

 

解きましたでしょうか。では解説に移ります。

 

 

 

 

 

まず考えることは合成です。\(\sin\) と \(\cos\) の和や差は必ず合成ができます。なので問題を見たときに関数の形を見ただけで合成をすることが予想できます。これがスピードを上げる一つのコツです。

ただし全てのこの形がうまく合成できるとは限りません。この問題のようにある意味”無理やり”合成をすることがあります。これのやり方は次のように覚えてしまいましょう。

まず、\(\sin\) と \(\cos\) の前にある数字を2乗して足してルートを取ります。要するに、

$$\sqrt{(\sqrt{2})^2+(\sqrt{3})^2}=\sqrt{2+3}=\sqrt{5}$$

です。そしてこの数字で元の式を無理やりくくります。

$$\sqrt{2}\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta=\sqrt{5}\left(\sin\theta\cdot\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}+\cos\theta\cdot\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}\right)$$

そうするとこれは見方を変えればどこかで見たことがある式です。そう、加法定理ですね。

$$\sin(\alpha +\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta$$

これと見比べて

$$\alpha=\theta\ \ ,\ \ \cos\beta=\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}\ \ ,\ \ \sin\beta=\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}$$

と思えば、与えられた式は

$$\sqrt{2}\sin\theta+\sqrt{3}\cos\theta=\sqrt{5}\left(\sin\theta\cdot\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}+\cos\theta\cdot\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}\right)=\sqrt{5}\sin\left(\theta +\beta\right)$$

ただし

$$\cos\beta=\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}\ \ ,\ \ \sin\beta=\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}$$

と”無理やり”合成できました。問題文に合わせると\(\beta\)は\(\gamma\)です。

このように実はもともと三角関数の合成は加法定理の逆順をやっていたに過ぎないのです。この記事を見てくれている人の中には合成をやり方だけ覚えてしまっている人もいると思います。

もちろんスピードを意識するのであればサッと合成できた方が良いです。なので形式的に覚えておくのも重要です。

ですが、それだけになってしまうと今回のような問題に当たったときに対処が難しくなる(練習してる人は大丈夫ですが)ので自分の中で無理やり合成をするタイプをどう解くかを考えておきましょう

さて、合成が終わったので最終行を残すのみです。ですがこれが三角関数の中でも大事な話のひとつですので理解するまでじっくりと読んでみてください。

まず、\(\sin\theta\) と \(\cos\theta\) の最大値は何ですかと言われてすぐに”1″だと思ってしまった人はこの先の話を必ずみておくべきです。

どうしてかというと、そもそも\(\sin\theta\) や \(\cos\theta\) の最大値や最小値は角度によって決まるものです。角度に制限があればそれに伴って取ることができる値が変わりますので最大値も自ずと変わるはずですね。

もちろん角度は何でもいいと言われた場合は\(\sin\theta\) と \(\cos\theta\) の最大値と最小値はそれぞれ”\(1\)”、”\(-1\)”です。

しかし、極端な場合、角度の範囲が

$$\frac{\pi}{6}\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{3}$$

の場合は \(\sin\theta\) の最大値\(\frac{\sqrt{3}}{2}\)  最小値 \(\frac{1}{2}\) になります。要するに角度がどう変わるかで三角関数の取れる値は決まっているわけです。

ということで三角関数がどのような値になるかは角度に注意することが重要であることがわかったと思います。では具体的にどうするかを問題を通してみていきます。

今求めたいのは

$$\sqrt{5}\sin\left(\theta +\beta\right)$$

の最大値です。変化するのは \(\sin\left(\theta +\gamma\right)\) ですから見るのは \(\sin\left(\theta +\gamma\right)\) だけで大丈夫ですね( \(\beta\) を問題文に合わせて \(\gamma\) に変えています)。

ではこの \(\sin(\theta +\gamma)\) は角度がどうなっているでしょう。その範囲を知らないと \(\sin(\theta +\gamma)\) がどのような値を取れるのか分かりません。

ですからまずは \(\theta +\gamma\) の動ける範囲から考えていきましょう。

わかっているのは\(\theta\)の範囲(\(-\frac{\pi}{4}\leqq\theta\leqq\frac{\pi}{4}\)) ですがここから私たちが欲しい角度である \(\theta +\gamma\) はすぐに求められます。

$$-\frac{\pi}{4}+\gamma\leqq\theta +\gamma\leqq\frac{\pi}{4}+\gamma$$

しかし困りました。私たちは \(\gamma\) の具体的な値を知りません。例えば \(\gamma\) が\(\frac{\pi}{2}\) であれば範囲は

$$\frac{\pi}{4}\leqq\theta+\frac{\pi}{2}\leqq\frac{3}{4}\pi$$

であるので、\(\sin\left(\theta +\frac{\pi}{2}\right)\) は範囲に\(\frac{\pi}{2}\)を含んでいますから、”1″を取ることができますね。

しかし\(\gamma\) が\(\frac{\pi}{6}\) であれば範囲は

$$-\frac{\pi}{6}\leqq\theta+\frac{\pi}{6}\leqq\frac{5}{12}\pi$$

であるので、\(\sin\left(\theta +\frac{\pi}{6}\right)\) は範囲に\(\frac{\pi}{2}\)を含んでいませんので、”1″を取ることができません。

このように今回は \(\gamma\) がどれくらいかによって答えが変化してしまいそうなのです。まあ答えの形からしておそらく”1″になってくれるのでしょうけど(笑)。

ではどこで判断するのでしょうか。それは

$$\cos\gamma=\frac{\sqrt{2}}{\sqrt{5}}\ \ ,\ \ \sin\gamma=\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}$$

これです。\(\gamma\)に関するものがこれしかないので当たり前ではあるのですが、角度に関する情報はここから得られます。

なぜなら角度によって \(\sin\gamma\ , \ \cos\gamma\) の値は符号も含めて決まっているからです。

今回はどちらの符号もプラスです。ということはこの時点で \(\sin\gamma\ , \ \cos\gamma\) のどちらもプラスになるような角度は以下の範囲しかありません。

$$0\leqq\gamma\leqq\frac{\pi}{2}$$

ここまではできます。わからなかった人はこのようにして角度を予想できると知っておいてください。必ず役に立ちます。

ですが今回の問題はもっと絞っていかなくてはなりません。それは具体的な値を見て検討を付けるということです。

今回の場合例えば

$$\sin\gamma=\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}$$

です。私たちのよく知る角度でこの値に近そうなのは\(\sin\frac{\pi}{3}=\frac{\sqrt{3}}{2}\) でしょうか。これと比べると

$$\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{5}}=\frac{\sqrt{15}}{5}>\frac{\sqrt{3}}{2}$$

ということが確認できます。要するにこれは

$$\sin\gamma>\sin\frac{\pi}{3}$$

すなわち

$$\gamma>\frac{\pi}{3}$$

であることを意味しているのです。もちろん \(\cos\) でやっても同じ結果が得られます。ぜひ試してみてください。

というわけで\(\gamma\)は\(\frac{\pi}{3}\)よりも大きいことが分かったので

$$-\frac{\pi}{4}+\gamma\leqq\theta +\gamma\leqq\frac{\pi}{4}+\gamma$$

は\(\frac{\pi}{2}\)をまたぐことになります。これでようやく最大値が”1″であることが確認できたのです。

よって最大値は

$$\sqrt{5}$$

となります。解答はこれで終了です。

 

講義のまとめ

いかがだったでしょうか。最後の問題はかなりハイレベルな感じですが、その中で使った「角度の予想」はいろいろなところで使っていきます。

ポイントは

 

・「無理やり合成」をできるようにしておく

・三角関数の最大・最小は角度によって変化する

・三角関数の値から角度の予想ができる

 

この3つです。とにかく三角関数に慣れるには三角関数の特性をつかむこと、これにつきます。角度によって、そして角度の範囲によって取れる値が変わっていく三角関数を追うことができるかが素早く正確に解くカギです。

三角関数講座その1終了です。お疲れさまでした。

ではまた

 

解答

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コメント

  1. […] ちろんこのやり方は”合成がうまくできるもの”で有効です。そうじゃない場合はまた別の考え方をすればOKです。それに関してはこの記事で詳しく解説していますのでご参照ください。 […]

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