ベクトルで伸び悩んでいる人はおそらくベクトルというものを難しく考えすぎているんだと思います。
というのもベクトルは問題を抽象的に捉えるための道具だからです。
すこしベクトルの話をしましょう。
ベクトルという概念はそもそも矢印を表すためだけのものではありません。数学や物理では抽象的な場や関数そのものをベクトルとして考えることがあるぐらい非常に広い分野であり概念なのです。
ですので高校でやっているベクトルは一つの応用にすぎません。ベクトルは実はもっと抽象的でかつ数学的な操作で物事を考えることができる一種の道具と思ってもらえればいいと思います。
ですから高校数学のベクトルの問題を解く際もある程度までは数学的な操作で完結してしまいます。
結論を言ってしまうと何も考えずに変形を施していくと解けてしまう問題がベクトルには多いということです。
そこで大事になってくるのが次の基本的な考えかたです。
線型結合という難しい言葉が出てきたのでそれも含めて解説します。
例えば次のような始点が揃った2つのベクトルがあり、それとは違うベクトルがあるとしましょう。
この始点が揃ったベクトルをこれから基本のベクトルと呼ぶことにします。
この基本のベクトル(\(\vec{OA}\ ,\ \vec{OB}\))を使って実はもう一つのベクトル(\(\vec{OC}\))を必ず表すことができます。
なぜならベクトルは定数倍することによって伸ばすことができ、それらを足せばどんなベクトルでも作ることができるからです。
上の例だとこんな感じでしょうか。
実際にはこの図において
$$\vec{OA^{\prime}}=2\ \vec{OA}$$
$$\vec{OB^{\prime}}=\frac{3}{2}\ \vec{OB}$$
として、\(\vec{OC}\) を
$$\vec{OC}=\vec{OA^{\prime}}+\vec{OB^{\prime}}=2\ \vec{OA}+\frac{3}{2}\ \vec{OB}$$
と書けるようになっています。最後の式が先ほど言った、
「基本のベクトルを定数倍して足すとほしいベクトルが作れる」
というところに対応しています。確かに、どうにか定数倍すればいくらでもいろんなベクトルを作れそうですよね。
この2つのベクトルの定数倍を作りその和を取ったものを線形結合と言います。
まとめると2つの基本のベクトルがあればそれを使ってあらゆるベクトルをその基本のベクトルの線形結合で書けるわけです。
ベクトルの威力がまだわからないという方も多いと思いますがそれは問題を通して感じていただければと思います。
とにかくここではベクトルの基本的な考え方を抑えて欲しいと思います。それは上記でも論じましたが
とにかく2つのベクトルを使って他のベクトル全てを記述する
ことです。まずはこの概念を頭に入れて色んな問題や参考書に目を通してみてください。驚くほど当てはまるはずです。
いったん広告の時間です。
まとめ
ベクトルの問題を解くときの心構えをまずは話してきました。あと2つのベクトルの公式と1つの意識があればベクトルの問題は6割取れるまでになれます。誰でもできます!諦めずに頑張りましょう。とにかく次の意識を大切に。
「基本のベクトルを定数倍して足すとほしいベクトルが作れる」
から
「問題は基本のベクトルであらゆるベクトルを作るように指示をしてくる」
のです。
重要な公式は次に続きます。ぜひご覧ください。
ではまた。
コメント
[…] どの問題も基本はただ一つ。それをこちらの記事で解説しているのでしっかりと読んでから問題に取り組むとよいでしょう。その中で公式を使っていくのでまだわかっていないと思う人 […]