このページの目的
- ベクトルとは何かをイメージできるようにする
- ベクトルがいろいろなところで使われていることを学ぶ
- 高校数学でベクトルどのように使われるのかを知る
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ベクトルはただの矢印?
皆さんはベクトルというものが何かをご存知でしょうか。
知っているのならこのページには来ていないかもしれませんね。
高校数学を一度学んだ人にとっては恐らく「矢印」というイメージが強いのではないのでしょうか。
確かにベクトルは矢印です。矢印を足したり引いたりして新しい矢印を作る。そしてそれらを使えばいろいろなことができる・・・と思っている人が多いでしょう。
もちろんそれは間違いではないですが、本当のところベクトルはただそれだけでは済まされないほど大きな概念です。
これは大学に進むとわかりますが、ベクトルはもっともっと抽象的な概念であり、いろいろな場面で出てくるいわば「すごい概念」なのです。
高校数学で触れられるのはその一端にすぎません。ですが、ベクトルを学ぶ上で何を目的に使っているのかを少しでも知っておくだけでこの先のベクトルの問題を解いていく際の原動力になるのではないかと思います。
ベクトルとは一言でいうと
ある点から別の点を見たときの見え方
です。例えば「自分の家からコンビニはあっちの方向にある」というとき、私たちは常に自分から見てどちらの方向にどれくらいの距離にあるかを考えていますね。
ですが同じコンビニを全く違う場所にいる人が指し示そうと思うと、その人から見たコンビニは自分とは全く違う方向でまたその距離も違います。
要するにある場所から別の場所を指し示すときは立場によって全然違う表し方になってしまうのです。
そういう量がベクトルです。だからベクトルは「方向」と「距離(=大きさ)」をもった量になるわけです。
ですから私たちにとって方向と距離を持った量の中で身近なのが「矢印」ですのでベクトルは矢印で書き表しましょうとしているんですね。
今の話を聞けば何も矢印ではなくてもいい気がしてきますよね。これが先ほど述べたベクトルはとても大きな概念であるといった意味です。
例えばベクトルいう概念は数学はもちろんのこと管理人が専攻している「物理学」にも応用されています。
物理学においては「関数」がベクトルと同じ働きをしてくれます。さらにベクトルを「行列」という表記方法で書くことによって数式で物のメカニズムを表すことができてしまいます。
物理学は私たちの生活を支えている基本概念にほかなりません。私たちの生活はベクトルに支えられているのですね。(ちょっと飛躍しすぎでしょうか?(笑))
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高校数学でベクトルの使われる場面とは?
それはさておき、ベクトルはとにかく方向と距離(大きさ)をもった量であることが分かりましたが、高校数学ではどんな使われ方をするのでしょうか。
高校数学の中でベクトルによって最も多く扱われるのが「三角形(平面図形)」です。
なぜか。それは三角形の頂点の一つに私たちがいると思えば、三角形の辺や、その外側、内側にある点を記述できるからです。
例えば上のように三角形OABがあり、私たちは点Oからほかの三角形の頂点を見ることにしましょう。またそのほかにも三角形の内部や外部、三角形の辺上にも点を置いてみました。これを点Oから矢印を引けば、
こんな風になります。ただ矢印を引いただけですが、いろいろなうれしいことがあります。
まず、三角形の辺の長さはベクトルの大きさで表現できます。
例えば線分OAの長さはベクトルOAで表せますね。ベクトルは方向と大きさを持っている量でしたから。
また線分上の点を表すことも容易です。線分ABを点Cは内分していますが、その状況はベクトルOCを考えること”だけ”で示すことができるわけです。
これがあれば座標は必要ありません(もちろんベクトルの座標表示も学びますが)。あるところからどの方向にどのくらいの大きさの場所にあるかを考えるだけで三角形の特徴を書けるのです。
これができてしまえば三角形として考える必要はなくて、ベクトルの中での計算ですべて終えることができます。これは後々学習する or もう習っている方もいるでしょう。
かっこよく言うとベクトルは物事を抽象化してくれます。「三角形」ということにとらわれず、ベクトルという大きな概念で物事を見ることができるのです。
今は三角形に限定してお話をしましたが、物理学の例にもあるように多くのものをベクトルで考えることができてしまいます。ベクトルおそるべし。
まとめ
というわけでベクトルのすごさとその使い道について説明しました。この段階でベクトルの計算はできなくて構いません。とにかくベクトルは方向と大きさを持った量であり、その使い道は多いということ、さらに高校数学では特に三角形に注目してベクトルの計算を応用していくことを押さえておきましょう。
ではまた。
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