位置ベクトルで何をするか
位置ベクトルの概念を学習した後は、それを使って図形と方程式などで出てきた公式をベクトルに直すことが課題になります。
教科書では突然、内分の公式やベクトル方程式といった内容を載せていますが、その背後にあるのは
ベクトル表記をする
ことが大前提としてあります。これを頭に入れて学習すると良いでしょう。
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内分の公式のベクトル表記
まずは線分を内分する点を位置ベクトルで書くことを考えてみます。まずは線分があり、その線分を内分する点がある状況を考えます。
わかっているのは線分の端A、Bの位置ベクトルです。そして線分ABを \(m:n\) に内分する点をCとしましょう。
やりたいことはA、Bの位置ベクトルを使って点C の位置ベクトルを求めることです。
やってみます。まずは始点を適当に決めましょう。
あとはこの図における \(\vec{OC}\) を求められればそれがすなわち欲しい内分点Cの位置ベクトルです。
ここからは普通のベクトルの問題です。まずはこの図のように \(\vec{OA}\ ,\ \vec{OB}\) を書いてあげます。
\(\vec{OC}\) は
$$\vec{OC}=\vec{OA}+\vec{AC}$$
です。ベクトルの足し算ですね。また \(\vec{AC}\) は線分ABを \(m:n\) に分けた分の \(m\) だけあるので、
$$\vec{AC}=\frac{m}{m+n}\vec{AB}$$
とかけます。ということは欲しかった \(\vec{OC}\) は
$$\vec{OC}=\vec{OA}+\frac{m}{m+n}\vec{AB}$$
とかけます。これを始点 \(O\) から書きます。 \(\vec{AB}\) は
$$\vec{AB}=\vec{OB}-\vec{OA}$$
なので、
$$\vec{OC}=\vec{OA}+\frac{m}{m+n}\left(\vec{OB}-\vec{OA}\right)$$
より整理して
$$\vec{OC}=\vec{OA}+\frac{m}{m+n}\vec{OB}-\frac{m}{m+n}\vec{OA}$$
通分して
$$=\frac{m+n}{m+n}\vec{OA}-\frac{m}{m+n}\vec{OA}+\frac{m}{m+n}\vec{OB}$$
より
$$\vec{OC}=\frac{n}{m+n}\vec{OA}+\frac{m}{m+n}\vec{OB}$$
ですね。あとはこれを位置ベクトルの表記にしてみるだけです。
$$\vec{c}=\frac{n}{m+n}\vec{a}+\frac{m}{m+n}\vec{b}$$
これが内分の公式の位置ベクトルでの書き方です。この公式はベクトルの問題を解いていく時に知らぬ間に使うことになるでしょう。よく参考書には右の式を一つにした
$$\vec{c}=\frac{n\vec{a}+m\vec{b}}{m+n}$$
と書かれていることが多いです。同じ式なので混乱しないように。
この式の見た目は図形と方程式で学んだ内分の公式と同じです。ですが使う時にはすこし違った見方をする場合が多いです。
そのためにも覚えるときには位置ベクトルでの表記で覚えるのではなく、図と一緒に始点を考えた式で考えるのがいいです。
$$\vec{OC}=\frac{n}{m+n}\vec{OA}+\frac{m}{m+n}\vec{OB}$$
この表式は図形への応用も兼ねた覚え方です。最初はすこし戸惑うかもしれませんが、慣れるととても便利なので是非マスターしてください。
まとめ
ここでは位置ベクトルを使って内分の公式を書き換えてみました。ですがその公式を使ってさらに大事な考え方である内分を表すベクトル表記を学びました。位置ベクトル自体も大事ですが、その結果出てきた考え方も合わせておさえると一石三鳥ぐらいです。
ではまた。
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