等差数列でもやったように等比数列でもある任意の項までの和を考えてみます。少しトリッキーなことをするので最初はちょっとビックリするかもしれませんが、しっかりと読み込んでみてください。
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等比数列の和の公式の導出
さて、等差数列だとひっくり返して足すと上手くいきましたが、等比数列だと何を考えればいいでしょうか。例にならってまずは初項 、公比 、項数 の等比数列を足してみます。要するに
ですね。では両辺に公比 をかけてみます。一つ分ずらすイメージでしょうか。やってみると
となりますね。さて、これを見ていると右辺で面白いことが起こっています。実は をかけたにも関わらずかける前と後で同じ項が出てきているのです。先ほど一つ分ずらすと言ったのはこういうことです。
ということはそれぞれ左辺と右辺を引いてあげるとどんどん項が消えていきます。
例えば式(1)の2項目と式(2)の1項目が消えます。ということはその隣も消え、はたまたその隣も・・・というように引き算によって無くなっていくのです。
並べて書くとわかりやすいですね。上から下を引いてあげるわけです。そうすると確かに消えていく項がたくさんあることがわかります。
よって結果は
より
となりほとんどが消えていきました。ここで私たちが計算したいのは だったはずなので余分な を割ると、
という式が出てきます。これは初項、公比、項数のみで構成されていてその情報のみで和がわかるのです。
まとめると
初項 、公比 、項数 の等比数列の和は
であたえられる。
です。
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等比数列の和の公式を使ってみる
一つ例をとって実際に公式を使ってみましょう。次の数列は等比数列になっています。
3 6 12 24 48 …
この等比数列の初項から第20項までの和を求めてみます。
初項は3、公比は2ですのでこの数列の一般項は
とかけます。これは使いませんが確認です(笑)。さて、本題の等比数列の初項から第n項目までの和を求めてみましょう。項数は なので初項と公比の情報を使って
となります。なので第20項目までの和は
と計算できるわけです。数が大きいのなんの・・・(笑)。使い方がなんとなく理解できればOKですよ。
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補足 公式の条件
先ほど等比数列の公式を導出するときにあまり触れていませんでしたが、実は少し間を飛ばして導出しました。それはどこかというと
の式で で割ったところです。実はこれ、もし公比が1だったらおかしいことになります。だって0で割ることになりますもんね。数学は0で割ることを許しません。そもそも数字を0で割るということ自体想像つきません。
なので今回出した公式は公比が1でないときに成り立ちます。では公比が1の場合はどうしたらよいでしょう。
全く心配は要りません。なぜか、それは公比が1の数列は初項からずーーっと同じ数字が並ぶ数列になるからです。これの第n項目までの和と言われても初項のn倍ですので
とかけます。すなわち等比数列の和の公式は等比数列であれば基本的には使えるということですね。
少し混みいった話でしたが大事なことなので補足として書きました。数学で何かを割るという行為は時に危ないことを念頭に入れておくとよいでしょう。
終わりに
今回は等差数列に引き続き等比数列も和の公式を導出してつかってみました。シグマの計算をする際に必要になりますのでしっかりと押さえてくださいね!
ではまた。
コメント
度々すみません。
なぜ公比rをかけるのでしょうか?
理由を自分で考えてもわかりませんでした…
コメントありがとうございます!
公比rをかけることでその後に行う引き算で綺麗に真ん中の部分が消えてくれるなあ、ということを見越してかけます。
求めたいのはSです。Sは今のままだと途中が・・・になっており計算できているとは言えません。
これを我々の計算できる形に(n個足すのではなく、nを使った式にしたい)するために工夫をしているわけですね。
「なぜrをかけるか」に対する答えは「うまく計算できるから」なのですが、その理由は上述した通りです!
少し記事にも書き加えておきました!
参考になれば幸いです!!