二次曲線を媒介変数表示してみよう
ここでは僕たちが今まで考えてきた二次曲線を媒介変数表示するとどうなるか、そして媒介変数が必須の関数の一つ「サイクロイド」について考えていきましょう。
媒介変数の基本を学びたい方はこちらの記事をご覧ください。
ではいろいろな二次曲線を媒介変数表示していきましょう。
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円
これは以前の記事の中でもあったので式だけ見ることにします。
このように \(x\) 軸からの角度を \(\theta\) とすれば中心が原点で半径が \(a\) の円
\(x^2+y^2=a^2\)
は
\(x=a\cos\theta\)
\(y=a\sin\theta\)
となりますね。媒介変数は \(\theta\) です。
例えば \(x^2+y^2=9\) を角度 \(\theta\) を使って媒介変数表示をすると
\(x=3\cos\theta\)
\(y=3\sin\theta\)
となります。簡単ですね。
円の媒介変数表示
\(x^2+y^2=a^2\) の媒介変数表示は
\(x=a\cos\theta\)
\(y=a\sin\theta\)
である。
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楕円
では次は楕円を見てみましょう。これはどう考えればいいでしょうか。
まずは図形的に考えてみることにします。楕円は
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\)
で表されますが、どんな図形かと言うと
ですね。長軸が \(2a\)、短軸が \(2b\) です。ですから例えば原点が中心の半径 \(a\) の円を重ねて書くと
このようになりますね。もし \(x\) が同じ点を考えると、円では \(y\) なのに対し、楕円はその \(y\) よりも
\(\displaystyle \frac{b}{a}\) 倍
となっていることがわかります。これは \(y\) 軸上を見れば簡単にわかりますね。
ですから楕円は
円を \(x\) 軸をもとにして \(y\) 軸方向に \(\displaystyle \frac{b}{a}\) 倍した図形
と見ることもできるのです。ですから楕円の方程式は円の方程式からの軌跡として出すことができます。
先ほどと同じように円上の点を \((s,t)\) とし、欲しい軌跡の点を \((x,y)\) とすれば
\(x=s\)、 \(\displaystyle y=\frac{b}{a}t\)
となります。 \((s,t)\) は円上の点なので
\(s^2+t^2=a^2\)
が成り立ちますから、 \(s=x\)、\(\displaystyle t=\frac{a}{b}y\) より
\begin{eqnarray}x^2+\left(\frac{a}{b}y\right)^2&=&a^2\\[5pt]x^2+\frac{a^2}{b^2}y^2&=&a^2\\[5pt] \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}&=&1\end{eqnarray}
で楕円の方程式が出てきました。やりたかったことはこれではないのですが、円との関係がわかったかと思います。
ですから円の媒介変数表示から、楕円の媒介変数表示を求められます。先ほど確認した通り楕円は
円を \(x\) 軸をもとにして \(y\) 軸方向に \(\displaystyle \frac{b}{a}\) 倍した図形
ですから円の媒介変数表示
\(x=a\cos\theta\)
\(y=a\sin\theta\)
の \(y\) を \(\frac{b}{a}\) 倍するだけですね。よって
\(x=a\cos\theta\)
\(\displaystyle y=a\sin\theta\times \frac{b}{a}=b\sin\theta\)
となりますね。
楕円の媒介変数表示
楕円 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1\) の媒介変数表示は
\(x=a\cos\theta\)
\(y=b\sin\theta\)
である。
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双曲線
双曲線に関しては少し違った見方で媒介変数表示を考えてみましょう。
円や楕円を見てわかる通り、使われるのは三角関数です。なぜなら
二乗して \(1\) になる
となると
\(\sin^2\theta+\cos^2\theta=1\)
が真っ先に思いつきます。ですから円の媒介変数表示は図など使わなくても
\(x^2+y^2=a^2\) より \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{a^2}=1\) なので
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2}=\cos^2\theta\)
\(\displaystyle \frac{y^2}{a^2}=\sin^2\theta\)
とできる(順番はどちらでもいいですが、逆にすると角度の取り方が変わることになります)のでここから
\(x=a\cos\theta\)
\(y=a\sin\theta\)
とできるわけです。だとすると双曲線は何か見えてくるものがあるでしょうか・・・
双曲線は
\(\displaystyle \frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\)
ですが
\(\displaystyle 1+\frac{y^2}{b^2}=\frac{x^2}{a^2}\)
とすると見えてきませんか。・・・そうです。
\(\displaystyle 1+\tan^2\theta=\frac{1}{\cos^2\theta}\)
ですね。そうすると
\(\displaystyle \frac{y}{b}=\tan\theta\)
\(\displaystyle \frac{x}{a}=\frac{1}{\cos\theta}\)
とすれば双曲線の方程式を満たしますね。つまり
\(\displaystyle x=\frac{a}{\cos\theta}\)
\(\displaystyle y=b\tan\theta\)
とできることがわかります。これが双曲線の媒介変数表示です。
双曲線の媒介変数表示
双曲線 \(\displaystyle \frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1\) の媒介変数表示は
\(\displaystyle x=\frac{a}{\cos\theta}\)
\(y=b\tan\theta\)
である。
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サイクロイド
さて、最後に「サイクロイド」について簡単に解説しておきます。
サイクロイドとは何かというと
円が定直線上を滑ることなく回転していく時、円上の定点Pが描く曲線
です。言葉で言われても何が何やらなので、実際に図を書いてみます。
こんな図形です。円上の点を一点考えて、\(x\) 軸上で円をコロコロと転がしたときに、点がどんな図形が描けますか?ということを聞かれているだけです。
結論から言うと上の図にある通り楕円の半分を繰り返したような図形になります。この図形の関数を考えたいわけです。
ですが、普通に考えるとサイクロイドの関数は知らないので関数を作ることはできなさそうです。ですのでこう言う場合は媒介変数の考え方である「\(x\) と \(y\) を分けて考える」という方法が効いてきます。
転がす円の半径を \(a\) とすると少し転がした後の状況は次のようになります。
少しわかりづらいですが、原点に点Pがある状況から角度 \(\theta\) だけ回転した状況です。ですから \(\angle PCQ =\theta\) となります。角度は弧度法ですので注意してください。
ここで円を滑らせないで転がしているので、弧PTと線分OTは等しいですね。孤の大きさは中心角と半径を使えば
孤PT\(=a\theta\)
です。さらに図からわかることは
線分PQ \(=\) PC\(\sin\theta\)
線分CQ \(=\) PC\(\cos\theta\)
線分PC \(=a\)
線分CT \(=a\)
ですね。直角三角形なので三角比をバッチリ使えます。そうすると点Pの座標は
\(x=\) OT \(-\) PQ \(=a\theta-a\sin\theta\)
\(y=\) CT \(-\) CQ \(=a-a\cos\theta\)
となります。これはまさしく媒介変数を \(\theta\) としてサイクロイドを表したことと等しいですね。もちろん \(\theta\) がマイナスでもこれは成り立つ(ぜひ自分で考えてみてください)ので全ての \(\theta\) で成り立ちますよ。
この \(\theta\) を消して、 \(x\) と \(y\) の関数にするのは厳しいです。どう変形しても \(\theta\) が残ってしまいますからね。
というわけでサイクロイドは媒介変数表示として
サイクロイド
\(x=a\theta-a\sin\theta\)
\(y=a-a\cos\theta\)
と表されます。図と一緒に覚えてしまうのが楽ですね。作り方さえわかれば難しくありません。
まとめ
二次曲線は媒介変数表示が似ていますが、それぞれしっかりと「なぜその式になるのか」を自分の中で落とし込むのが重要です。サイクロイドに関しては基本的に自分で作ることができれば問題ないので、図をじっくりとみて図形的に求められるようにしておきましょう。
ではまた。
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