等比数列を無限に足す
ここでやることは全く新しくありません。私自身もこれだけを取り上げて一つの記事にするのは少し疑問なのですが、高校数学では非常によく出てくるので、1つ記事使って解説しようと思います。
無限等比級数とは何かと言うと
等比数列の無限和
です。例えば
こんな数列を考えましょう。項は無限に続くとすると、これは初項
私たちはこの数列が収束するのか、発散するのかを簡単に考えることができました。それは「公比」を見ればよかったのですね。
公比
もちろん公比が
というように公比の大きさで数列自体の極限がどうなるかを考えることができるのでした。ここまでが不安な人は

これを見てから戻ってきてくださいね。
今回、私たちが考えるのは
です。つまり等比数列を無限に足していったら果たしてどうなるのかを考えたいわけです。最後の式は和の記号で書いた時の表式です。
ですが私たちは無限和をどう計算すればいいか知っています。なんだったかというと
部分和を求めて、その極限をとる
これに尽きるのでした。無限に足すという行為はなんだかよくわからないので、無限和を考えるときには
一旦部分的なところまで和をとって、その後に極限を取ろう
という手法をとるのでしたね。無限等比級数でももちろん同じなので、まずは何も考えずにやってみることにしましょう。
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部分和から無限等比級数を求める
先ほどの無限等比級数
は初項が
を求めればいいことになります。これはもちろん
ですね。等比数列の和は公式ですぐに求めることができます。
ですから無限等比級数を求めたければ
という極限を計算すれば良いことになります。結局は無限等比級数と言っても、部分和の極限なので新しいことは何一つないわけです。
これを計算することは造作もありません。先程確認した通り
でしたから結局
は発散してしまいます。つまり
であるわけです。
こうなると無限等比級数も
公比で答えが変わる
ことがすぐにわかると思います。なぜなら一番答えに関わっているのは
の極限です。これはもちろん公比によって収束するか発散するかが決まっていたので
無限等比級数も公比で決まる
のです。当たり前っぽいです。
では公比がどうなった時に答えがどうなるのかを考察してみましょう。
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無限等比級数の公式を考える
一般的に無限等比級数を考えることにしましょう。
初項を
で表されますね。先ほどの例でやった通りです。この無限級数の部分和は
です。
と簡単に出せます。ここまではさっきと同じですね。
僕たちはこれから極限
を考えることで無限等比級数の答えを考えていくわけですが、もちろんこのままでは一つに定まりません。
なぜなら何度も確認している通り公比によって答えが変わるからです。
ですがそれも全く問題になりません。だって私たちはこの
がどうなるかをもう知っているのですから。冒頭でも触れましたがこうでしたよね
無限等比数列の極限は 初項を
である。
ですからこの場合わけは変わらないです。それぞれについて無限等比級数も考えればいいですね。やってみます。
より無限等比級数は
になります。つまりこの時は無限等比級数が「収束」して
になるのです。
では
より、
部分和は、初項が
になりますね。数学Bでやった気がします。これの極限をとるとすぐにわかるように
で発散します。なんか発散とか振動してばっかりですね。
では最後に
が振動しますので、極限はありません。なんということでしょう。
つまり無限等比級数において収束する条件はただ一つ。
公比
ことだけです。
そしてその時の収束値は
です。もちろん初項は
というわけでこれらを全てひとまとめにしておさらいしておきましょう。
初項
は
で
である。
なんかとてもシンプルになりましたね。無限等比級数なんておぞましい名前がついていますが、なんともわかりやすい結果となりました。
とにかく抑えるべきなのは
無限等比級数は公比を見るべし
ですね。
少し補足を。「収束しない」と先ほど書きましたが、これらは一つ一つ見てきた通り、それぞれ発散したり振動したりとバラエティはあります。
下にそれらもまとめておきますので気になる人はぜひ。
発散するが、初項の符号によって正または負に発散する。
振動する。つまり極限はない。
まとめ
無限等比級数も結局は部分和とその極限で片付けられました。私が最初に言っていた意味がここでわかることでしょう。高校の範囲で無限級数の特別なものはありません。部分和と極限計算さえわかれば計算できるはず。わからなかった人は少し戻って、極限計算を見直してみてください。必ずできます。
ではまた。
コメント
[…] 無限等比級数とは 導入と公式を解説等比数列を無限に足す ここでやることは全く新しくありません。私自身もこれだけを取り上げて一つの記事にするのは少し疑問なのですが、高校数 […]
すみません、山里です。
上のシグマの下のn=0が間違いだと思うのですが、
n=1ではないでしょうか?
コメントありがとうございます!
確認したところその通りでした!訂正しましたのでご確認いただけると幸いです。
大変助かります!これからもよろしくお願いいたします!
2×(3のn-1乗)=(3のn乗)-1
が、n=2の時成立しないのと、
2×(3のn-1乗)を、(3のn乗)-1
にしている理由がわかりませんでした。
2×(3のn-1乗)のままでも、limで発散することはすぐわかりそうなものだったので。
2×(3のn-1乗)を、(3のn乗)-1
に変えたのは、等比数列の和の公式を使ったからですか?
色々間違いがあるかもですが、教えて欲しいです・・・
おそらく、分母に2があるのでそれで約分しているだけだと思います。該当箇所が間違っていたら教えてください!
無限級数は「部分和」の極限なので、そもそも和を計算してあげないと無限級数はわかりません。和の計算結果の極限を取るのが無限級数の基本の考え方になります。
質問の意図と違っていればまた質問をください!