座標平面は数直線を2本にしただけ
前回の記事
で数直線上での距離や内分点や外分点の意味、座標の求め方をしっかりと学習しました。
これを使えば2次元上、つまり座標平面上であっても簡単に点と点の間の距離や内分点、外分点を求めることができます。
なぜかを説明しましょう。
座標平面では \(x\) , \(y\) という2つの軸が出てきて、ある点がどこにあるかは2つの軸で測ることで決めることができましたよね。
このように \(x\) 座標、 \(y\) 座標というのはつまるところ横の数直線と縦の数直線で点の位置を考えていることに他なりません。
ですから特に内分点と外分点については数直線で作った公式がそのまま使えそうです。
\(x\) 軸と \(y\) 軸それぞれで内分、外分を考えればやってることは同じですものね。
というわけで新しく覚えることはほとんどありませんので恐れず、じっくりと見ていきましょう。
2点間の距離を座標平面で考える
まずは座標平面上にある2つの点の間の距離を求める公式を作っていきましょう。
作るといっても難しいことはありません。三平方の定理さえあればすぐに求めることができます。
座標平面上の2点でわかっているものはその \(x\) 座標と \(y\) 座標ですね。
それらをこのように A\((x_{1}, y_{1})\) 、B\((x_{2}, y_{2})\) としておきます。
なぜこんな表記を使うかというと、\(a,b,\cdots\) などを使うと、もし今後たくさんの座標を考えることがあった時に足りなくなってしまう恐れがあるからです。深い意味はありませんよ。
さて、この二つの点の距離、つまりは
この線分の最短距離を求めたいのですが、どうしたら良いでしょうか。
こう考えてみましょう。このように直角三角形を作るのです。
そうすると実は、求める距離は直角三角形でいうところの「斜辺」になります。
斜辺を求めるにはもちろん「三平方の定理」を使えば良いですが、そのための長さとして線分ACとBCが必要ですね。
ですがこれもすでに求められます。なぜかというと、これはまさしく数直線上での距離を求める時と全く同じだからですね。
このように考えればそれぞれの線分の長さは
線分AC \(=|x_{2}-x_{1}|\)
線分BC \(=|y_{2}-y_{1}|\)
となりますよね。それぞれの \(x\) 座標と \(y\) 座標から簡単に求められます。
よって三平方の定理を使えば求める距離 AB は
\(AB^{2}=AC^{2}+BC^{2}\)
より
\begin{eqnarray}AB^{2}&=&|x_{1}-x_{2}|^{2}+ |y_{1}-y_{2}|^{2}\\&=&(x_{1}-x_{2})^{2}+(y_{1}-y_{2})^{2}\end{eqnarray}
絶対値の二乗は絶対値を外せるので外しておきました。
よって
\(AB^{2} = \sqrt{(x_{2}-x_{1})^{2}+(y_{2}-y_{1})^{2}}\)
となるわけです。つまり
それぞれの座標を軸ごとに引いて、二乗して足す。最後にルートを取る
\(AB^{2} = \sqrt{(x_{2}-x_{1})^{2}+(y_{2}-y_{1})^{2}}\)
これで距離は簡単に求まってしまうのですね。
ですから私たちは
座標が分かればその間の距離を求めることができる
ということになります。これを頭に入れておきましょう。
例えば
こんな問題もすぐにできてしまいます。\(x\)、\(y\) 座標それぞれを引いて
\(x\) 座標 \(-2-2=-4\)
\(y\) 座標 \(6-3=3\)
これを二乗して足して
\((-4)^2+3^{2}=25\)
後はルートを取るだけ
\(AB = \sqrt{25}=5\)
これで完了ですね。一応どっちからどっちを引くかは自分で決めておくと良いです。今回の解答では \(B\) の座標から \(A\) の座標を引きました。もちろん逆でやっても
\(AB = \sqrt{(2-(-2))^{2}+(3-6)^{2}}=\sqrt{4^2+(-3)^{2}}=\sqrt{25}=5\)
ですね。文字などが入った場合には自分で考えやすいように対応させておくと良いです。
いったん広告の時間です。
内分点・外分点を座標平面で求める
次は内分点と外分点です。ただこれは冒頭にもお話しした通り、それぞれの座標軸で考えれば全く同じ公式が使えますので、実際に使って公式を確認したいと思います。
例えば A\((3,5)\), B\((7,2)\) という点を考えて
このような内分点を考える場合は結局
このようにそれぞれの軸でも同じ内分をすることになるので結局は
2つの点の \(x\) 座標、 \(y\) 座標それぞれで数直線の時の内分の公式を使えば良い
のです。こうなれば話は簡単です。今回の場合は線分ABを\(3:2\) に内分する点Pを考えていますが、
このように \(x\) 座標だけで考えると、\(A(3), B(7)\) という点があり、線分ABを\(3:2\) に内分すれば良いと考えれば良さそうです。
点Pの座標を P\(p_{x}, p_{y}\) とすると
\(\displaystyle p_{x}=\frac{2\cdot 3+3\cdot 7}{3+2}\)
を計算すれば良いということになります。
公式はこんな形でしたね。
\(A(a), B(b)\) を \(m:n\) に内分する点の座標 \(p\) は
\(\displaystyle p=\frac{na+mb}{m+n}\)
公式のポイントは
分母は比の足し算
分子はスタートの座標(\(a\))に比の後ろ(\(n\)) 、ゴールの座標(\(b\))に比の最初(\(m\))をそれぞれかけて足す
です。よくわからない人は
を復習しておくと良いでしょう。
実際に当てはめて計算すると
\begin{eqnarray}p_{x}&=&\frac{2\cdot 3+3\cdot 7}{3+2}\\&=&\frac{6+21}{5}\\&=&\frac{27}{5}\end{eqnarray}
ですね。これで\(x\) 座標はわかりました。
\(y\) 座標も同じように考えます。与えられたA,Bの \(y\) 座標を使えば A\((5)\), B\((2)\) なので
\begin{eqnarray}p_{y}&=&\frac{2\cdot 5+3\cdot 2}{3+2}\\&=&\frac{10+6}{5}\\&=&\frac{16}{5}\end{eqnarray}
となります。というわけで最終的に欲しかった内分点Pの座標は
P\(\displaystyle \left(\frac{27}{5}, \frac{16}{5}\right)\)
となるのです。前回の公式が頭に入っていれば新しいことは何もありません。
外分も同様です。こんな外分点を考えてみましょう。
少し複雑ですが、これは線分ABを\(2:5\) に外分する点となります。「線分ABを」といった時には点Aからスタートして比を考えるので忘れずに。
これも内分の時と同じようにそれぞれの軸で外分点を求めるだけです。
\(x\) 座標の方は
となるので点Qの座標を Q\(q_{x}, q_{y}\) とすれば、外分の公式に当てはめて
\begin{eqnarray}q_{x}&=&\frac{-5\cdot 3+2\cdot 7}{2-5}\\&=&\frac{-15+14}{-3}\\&=&\frac{1}{3}\end{eqnarray}
となります。外分の公式の注意は内分の公式の \(n\) が \(-n\) に変わっているところです。
同様にして\(y\) 座標の方は
\begin{eqnarray}q_{y}&=&\frac{-5\cdot 5+2\cdot 2}{2-5}\\&=&\frac{-25+4}{-3}\\&=& 7\end{eqnarray}
となります。結局求めたかった点Qの座標は
Q\(\displaystyle \left(\frac{1}{3}, 7\right)\)
これで外分点を座標から求めることができましたね。
まとめ
今回は座標平面での2つの点から距離と内分・外分点の座標を求めてみました。これで僕たちは座標が与えられればかなり多くの情報を得ることができるようになりました。後はこれらを使って何をしていくか。それを学ぶのが図形と方程式のファーストステップです。ここからは如何に楽にいろいろな点を求めていくかが鍵となっていきます。お楽しみに。
ではまた。
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