「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

内分と外分と絶対値 数直線上での公式を徹底解説

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

なぜ座標を扱うのか

さて、図形と方程式の分野ではまず「座標」とか「内分」とか「外分」とかを扱います。

そもそも何のために「座標」を用意したり、その中でごちゃごちゃと計算をしていくのかまだよくわからないと思いますので、なぜ図形と方程式という分野を学んでいくのかを簡単に説明しましょう。

まず図形と方程式の分野での目標というのは何かというと

 

座標平面上で図形を扱えるようにしよう

 

ということに尽きます。

私たちは今まで図形と言えば数学Ⅰ・Aで三角形や円などを扱ってきましたね。

これらは単純に紙の上に書いて、そこで公式などを使って色々な角度・辺の長さなどを求めてきたのでした。

ただ、もしこのような「図形」を「座標平面上」で扱うことができたらかなりできることが広がります。

どうしてかというと、私たちは座標平面であれば「関数」という武器を持っていますよね。直線の式・曲線の式を書けるはずです。そしてその関数は関数式として色々な計算に使うことができます。

 

もしこの図形を関数として扱ったり、図形の長さ、角度などを座標で表すことができるなら、私たちは図形を「座標上の図形」としても、「関数」としても色々な見方をすることができます。

 

GPSなんかは私たちのいる場所を点として認識し、その点がどの座標にいるかを座標平面を使って特定し、例えばその位置から目的地までの距離を計算する時には座標で距離を測れば最短距離が分かりますね。

ですからこれまでただの紙の上の図形として扱ってきたものを「座標」で認識することは非常に重要な方法なのです。

じゃあどこから考えていけばいいか。座標平面は\(x\) 軸と \(y\) 軸の2つがありますが、その2つを一気に考えるのは大変なので、まずは数直線で考えることにしましょう。

その数直線が2つ直角に交わったのが座標平面ですから、数直線を理解すれば座標も自ずと分かってきそうですね。

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数直線上での2点とその距離

数直線は皆さんご存知の通りです。原点 \(O\) を持った一本の直線です。

 

 

これに目盛りを振ることで点の位置を指定することができます。

 

 

例えば上の図で言うと点Aは原点から数えて \(2\) だけ右にずれたところにいます。

ですからこの時点Aの座標を

 

\(A(2)\)

 

と書くことにします。この \(2\) という数字が座標の値です。基本的に矢印の向かっている方向がプラスなので今回は右をプラスにしています。

ですから例えば点Bは原点よりも左にありますから、マイナスの符号を使って

 

\(B(-3)\)

 

という風に表せますね。簡単です。

また、もちろん原点からある点までの距離は見てわかる通り

 

\(OA=2\ \ \ OB=3\)

 

ですが、この距離のことを絶対値と言いました。記号はこんなのでしたね

 

\(|2|\ ,\ |-3|\)

 

原点とある点までの距離は、座標を絶対値で囲んで計算すればすぐに分かります。

では2点間の距離はどのように計算すればいいでしょうか。

先ほどの図を見れば明らかな通り

 

 

点A, B の間の距離は \(5\) ですが、これはどうやって計算で出せば良いでしょう。

一番簡単なのは

 

座標の大きい方から小さい方を引く

 

というやり方ですね。今回の場合だと \(3\) の方が \(-2\) よりも大きいので

 

\(3-(-2)=3+2=5\)

 

となります。もちろんこれでもいいのですが、例えば文字なんかが入っていて実際の大きさがわからないなんていうケースも出てくるでしょう。

そういう場合はこうやって考えてもOKです。

 

とにかく引き算して絶対値を計算する

 

例えば先ほどの例だと

 

\(3-(-2)=3+2=5\)

 

このように計算しましたが、

 

\(|3-(-2)|=|3+2|=|5|=5\)

 

としても良いですし、実は「大きい方から・・・」なんてことは考えずに

 

\(|(-2)-3|=|-5|=5\)

 

と計算してもちゃんと距離が出てきます。ですので

 

 

2点間の距離を計算したければ

 

大きい方から小さい方を引く

or

とりあえず引き算して絶対値をとる

 

 

 

という二つのやり方を覚えておくと良いでしょう。これで数直線上での2点間の距離を計算することができましたね。

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内分と外分の意味を理解する

さて、では数直線上でもう少し遊んでみましょう。

例えばこんな風に線分AB上に点Pをポンと置いたとします。

 

 

この時、点Pは線分ABを「内分」していると言えます。要するに線分ABを二つに分けているのですね。

その時に実は点Pがどのように内分しているかを表すために

 

 

線分APと線分PBの比を使います。もしこのような状況になっている時、

 

点Pは線分ABを\(m:n\) に内分する点である

 

と言えます。ちょっとかっこいいですね。

例えば

 

 

こんな状況になっているとき、私たちは

 

点Pは線分APを \(5:3\) に内分している

 

ということができます。

ここで一つ注意なのですが、内分点を示すときは必ず線分の順番を意識するようにしてください。

どういうことかというと、例えば先ほどの例だと

 

A \(\rightarrow\) P \(\rightarrow\) B の順で比が \(5:3\) になっているとき、点Pは線分APを \(5:3\) に内分する

 

と言えるのです。つまり比を考える時には「指定している線分の最初の点から数える」ことが絶対に必要です。

つまり先ほどの点Pはこんな風にも言えます

 

点Pは線分BAを \(3:5\) に内分する点である

 

今回は線分をBAと見ているので、点自体は同じなのですが、内分の言い方が異なるのですね。

これは次の外分を考える時に非常に役に立つので覚えておくと良いです。

さて、では早速次はというと、こんな点も考えられます。

 

 

線分の外にある点ですね。ですが、この点Qには特徴があって

 

A \(\rightarrow\) Q \(\rightarrow\) B の順で比が \(3:2\) になっている

 

のです。こういう時に私たちはこの点Qのことを「外分点」と呼ぶことにします。つまり内分の時のように

 

点Qは線分ABを \(3:2\) に外分する点である

 

ということができるのです。外分は少し変な感じですがたくさん使って慣れていきましょう。

例えば

 

 

のようになっている時

 

点Qは線分ABを \(7:4\) に外分している

 

と言えます。もちろんこんな場合も考えられますね。

 

 

次は線分の左側にあります。こういう場合も

 

点Rは線分ABを \(2:5\) に外分する

 

と言えます。ここで再度注意なのですが、内分の時にも注意した通り

 

必ず、線分ABを・・・と考える時には点Aからスタートする

 

ことを意識してください。ですから同じ外分点であっても2つの言い方ができます。

 

 

これであれば

点Qは線分ABを \(3:2\) に外分する

 

 

とも言えますし、

点Qは線分BAを \(2:3\) に外分する

 

 

とも言えるという具合です。コツは上図のようにどこからスタートするかを決めて矢印を書いてあげることですね。そうすれば書き方と比が一発でわかります。

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内分・外分点の座標を求めてみる

さて、内分と外分についてわかったのですが、せっかく内分点と外分点を考えるならその座標を求められないと意味がありません。私たちの目標はあくまでも全てを座標で考えることですからね。

では早速計算できるようになりましょう。私たちは

 

線分の端の座標 \(A(a)\, \ B(b)\) と内分・外分する時の比 \(m:n\)

 

から内分・外分点の座標を求めることを考えます。私たちに与えられるのは座標と比だけであることが多いですからね。

内分点の座標公式

まずは内分から考えていきましょう。内分する点Pの座標を \(P(p)\) とおきます。そうすると例えば次のような時

 

 

線分APとPBの長さは

 

\(AP=p-a\, \ PB=b-p\)

 

ですね。最初に学んだように大きい方から小さい方を引いただけです。そうするとこれらの比はもちろん \(m:n\) ですから

 

\(p-a:b-p=m:n\)

 

ですね。これを計算して \(p\) を出してあげるだけです。

 

\begin{eqnarray}n(p-a)&=&m(b-p)\\np-na&=&mb-mp\\(n+m)p&=&na+mb\\p&=&\frac{na+mb}{m+n}\end{eqnarray}

 

というわけで

 

 

 

\(\displaystyle p=\frac{na+mb}{m+n}\)

 

 

 

これが内分点の座標になります。何やら複雑そうに見えますがそうでもありません。

 

 

 

分母比の足し算

 

分子スタートの座標(\(a\))に比の後ろ(\(n\))ゴールの座標(\(b\))に比の最初(\(m\))をそれぞれかけて、最後に足す

 

これだけです。例えば

 

 

を計算する時には

 

 

こんな風に順序立てて考えると計算しやすいです。

外分点の座標公式

続いて外分です。外分の場合2パターンありましたが、どちらも計算結果は同じなので片方だけで計算してみたいと思います。

 

 

こんな状況を考えると

 

\(AQ=q-a\, \ QB=q-b\)

 

なので

 

\(q-a:q-b=m:n\)

 

を計算するだけです。これは先ほどと同様にして計算してあげれば

 

\begin{eqnarray}n(q-a)&=&m(q-b)\\nq-na&=&mq-mb\\-na+mb&=&(m-n)q\\q&=&\frac{-na+mb}{m-n}\end{eqnarray}

 

となります。つまり外分点の場合は

 

 

 

\(\displaystyle q=\frac{-na+mb}{m-n}\)

 

 

 

というわけです。

先ほどやった内分点と比べると

 

\(\displaystyle p=\frac{na+mb}{m+n}\)

\(\displaystyle q=\frac{-na+mb}{m-n}\)

 

\(n\) が \(-n\) に変わっているだけです!そう見ると内分の公式さえ覚えておけばなんてことはない気がしますね。

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問題練習

最後に簡単に今回の範囲を復習しておきましょう。この問題ができれば今回の範囲は大丈でしょう。

 

例題

数直線上に2点 \(A(3)\ ,\ B(7\) がある。この時次の問題に答えよ。

 

(1) 2点A,B の距離を求めよ

(2) 線分ABを\(3:2\) に内分する点Pの座標を求め、その点を図示せよ

(3) 線分ABを \(3:5\) に外分する点Q の座標を求め、その点を図示せよ

 

(1) の解答

これは簡単ですね。とにかく

 

「大きい方から小さい方を引く」「引き算して絶対値を取る」

 

をすればOKですから。どちらでもやってみると

 

\(7-3=4\)

\(|3-7|=|-4|=4\)

 

で答えは \(4\) です。

(2)の解答

線分ABを \(3:2\) に内分するので、公式に代入すればすぐにできます。今回の場合はスタートが \(a=3\) ゴールが \(b=7\) で \(3:2\) に内分 \(m=3, n=2\) するので

 

\(\displaystyle p=\frac{2\cdot 3+3\cdot 7}{3+2}\)

 

ですね。公式としっかり見比べてみてください。計算すると

 

\(\displaystyle p=\frac{2\cdot 3+3\cdot 7}{3+2}=\frac{6+7}{5}=\frac{13}{5}\)

 

ですね。図示する場合は座標で考えてもいいですし、おおよその当たりをつけて点を置いても良いです。内分を考えるときはAからスタートすること忘れずに考えましょう。

図示すると

 

 

こんな感じですね。イメージ通りになったでしょうか。

(3)の解答

(2)と同じように考えます。線分ABを \(3:5\) に外分するので公式を眺めながら

 

\(\displaystyle q=\frac{-na+mb}{m-n}\)

 

内分の公式の \(n\) が \(-n\) になっただけなので

 

\(\displaystyle q=\frac{-5\cdot 3+3\cdot 7}{3-5}\)

 

ですね。分母の \(m-n\) に注意です。これを計算すると

 

\(\displaystyle q=\frac{-5\cdot 3+3\cdot 7}{3-5}=\frac{-15+21}{-2}=\frac{6}{-2}=-3\)

 

となります。つまり図示すると

 

 

こんな風になりますね。 \(3:5\) に外分なので少しイメージしづらいかと思いますが、しっかり点Qをかけたでしょうか。

まとめ

今回は内分と外分について詳しく説明してきました。この数直線での内分と外分がわかれば座標平面になっても同じなので恐れることはありません。公式の形をしっかりと覚えておきましょう。

ではまた。

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コメント

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