分数関数とは
分数関数とは何かというとその名の通り
変数が分母に入っている関数
のことです。一番簡単な形は通常中学校で学ぶ反比例です。
つまり
\(\displaystyle y=\frac{1}{x}\)
これですね。この関数のグラフはみなさんご存知のとおり
こんな感じでした。重要なのは \(x\) 軸、\(y\) 軸に漸近していくことですね。 \(\tan\) と同じです。もちろんマイナスがつくと
\(\displaystyle y=-\frac{1}{x}\)
こっちになります。プラスだと右上と左下、マイナスだと左上と右下ですね。
また、特に高校数学のこの範囲では一次分数関数を扱います。つまり
\(\displaystyle y=\frac{1}{x^{2}}\)
など、分母に二次式以上の形が出てくるものは考えません。
さて、これで分数関数が描けるようになった・・・訳ではありません。これでは私たちは一つの分数関数しか書けません。中学生の時と同じではないですか。
これではいけませんので、もっとグラフを書ける関数を増やさなければなりません。
ではどうするか。こういう時は平行移動です。
これの際たる例は二次関数です。二次関数では最初に
\(\displaystyle y=x^{2}\)
からスタートしてこれを平行移動することによって
\(\displaystyle y=(x-p)^{2}+q\)
が書けるので、すべての二次関数をこの形にできればグラフは書けるようになりましたよね。
分数関数も同じように考えればいいのです。実際にやってみましょう。
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分数関数を平行移動してみる
さて、分数関数も関数ですので、平行移動の原理は全く同じです。
もし \(\displaystyle y=\frac{1}{x}\) を \(x\) 軸方向に \(p\) 、 \(y\) 軸方向に \(q\) だけ平行移動したらグラフはどうなるでしょうか。
もちろんグラフがそれだけうごくので
このようになりますよね。ある一点だけ見れば元の場所から \(x\) は \(p\) だけ、 \(y\) は \(q\) だけずれています。
ではこのグラフを数式で表した時にはどうなるんでしょうか。
平行移動はこのように簡単に考えることができたはずです。
ある関数 \(y=f(x)\) が \(x\) 軸方向に \(p\) 、 \(y\) 軸方向に \(q\) だけ平行移動すると、関数は
\(\displaystyle y-q = f(x-p)\)
つまり元の式の \(x\) を \(x-p\) に、 \(y\) を \(y-q\) に変更した式になる
ですので今回の場合
\(\displaystyle y=\frac{1}{x-p}+q\)
の式が
を表すことになるのです。
ということは逆に言うと
もし
\(\displaystyle y=\frac{1}{x-p}+q\)
の形の関数が出てくればそれは
\(\displaystyle y=\frac{1}{x}\) を \(x\) 軸方向に \(p\) 、 \(y\) 軸方向に \(q\) だけ平行移動したもの
なのです。
これで私たちは一つ書ける関数が増えました。
では、実際に書いて、書くときの注意点などを見ていきましょう。
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一次分数関数のグラフを書く
では早速グラフを書いてみます。まずはこれ。
みて分かる通り平行移動した後の一次分数関数と同じです。
今回の場合は \(x\) 軸方向に \(1\) 、\(y\) 軸方向に \(2\) だけ平行移動移動ですね。 \(y\) 軸方向は
\(\displaystyle y-2=\frac{1}{x-1}\)
と移項すればわかりますね。というわけでグラフを書くのですが、一つコツを伝授しましょう。
そのコツとは
まず、漸近線を書く
です。一次分数関数は必ず2つの直線に漸近していきますから、先にその線をかいた方が良いです。
書くべき線はすぐにわかります。一番基本的な分数関数は
のようにそれぞれの軸に漸近していきますから、もし関数を移動したら、その移動した分だけ漸近線もずれます。
つまり今回の場合は
このような漸近線に向かってグラフが描かれるのです。あとはどこに書くかですが、今回はプラスなので
となりますね。こんな感じで書くと書きやすいと思います。
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分数関数に見えない分数関数 変形の仕方
さて、これだけできればとりあえずOKかと思いきや、少し意地悪な問題もあったりします。
パッと見た時になんだこれ・・・となるのも無理はありません。明らかに今まで見てきた分数関数とは見た目が全く違うからです。
じゃあこの関数のグラフを書くことは無理かというともちろんそんなことはありません。
実は「変形」することで私たちがこれまでみてきた形にすることができます。数学ではよくあることですね。
ではどうやって変形するか。もちろんゴールは
\(\displaystyle y=\frac{1}{x-p}+q\)
この形なのですが、やるべきことは決まっています。それは
分母と同じ形を無理やり作ってつじつま合わせ
です。しっかり説明します。
まず、ゴールの形を見ると
\(\displaystyle y=\frac{1}{x-p}+q\)
となっているので、\(x\) が含まれるところと含まれないところを作ることになります。
ですので、
「分母」と同じ形が分子にあれば、約分されて \(x\) がない形が出来上がりそうです。
つまりこんな風に形を変えていきます。
\( \displaystyle \frac{2x+6}{x+1}=frac{2(x+1)+4}{x+1}\)
何をやったかというと、とりあえず分母と同じ形である \(x+1\) を作りました。ですが、もちろんそれだけでは元の形に戻らないので、つじつま合わせをしました。
2倍すれば \(2x\) ができますが、そうすると定数部分は \(2\) だけになるので、\(6\) にするために \(4\) を足しておきました。これで元の形に戻すことができます。
こうすると、分数は2つに分けられるので
\( \displaystyle \frac{2x+6}{x+1}=\frac{2(x+1)+4}{x+1}=\frac{2(x+1)}{x+1}+\frac{4}{x+1}=2+\frac{4}{x+1}=\frac{4}{x+1}+2\)
どうでしょう。まさしく私たちがかける分数関数の形になったではありませんか。こうすれば後は書くだけですので、先ほどのポイントを抑えつつ
これでグラフが完成です。一見かけなさそうな形でもこのような変形をすればかけるのですね。一つかける関数が増えました。
ちなみにこのように変形する方法はグラフを書く時に限らず、いろんな問題に役に立つことが多いです。
よく「分子の次数を下げる」なんて言い方をしますので覚えておくと良いでしょう。
まとめ
今回は分数関数ついてまとめてみました。常に基本の形は抑えつつ、そこに近づけていくことが大切になってきます。一次分数関数は微分などでまたでてきますので書き方含めてしっかりと練習しておくと良いでしょう。
ではまた。
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