「高校数学の知識庫」を今より10倍活用する方法

三角比の拡張と単位円

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こんにちは。 da Vinch (@mathsouko_vinch)です。

 

 

三角比を直角より大きい角度で求められるか

三角比はもちろん「直角三角形」で定義されました。なので三角比を考えられる角度の限界は\(0^\circ\)から\(90^\circ\)です。これは疑いの余地もありません。三角形の内角の和は\(180^\circ\)ですからね。

ですが少し見方を変えて見ると(定義を拡張すれば)今までではありえなかった\(90^\circ\)以上の角度での三角比を考えることが可能になります。

ありえないように思えると思いますが、拡張というのはそれをしても相互関係や他のすべての三角比が関わる事柄が成り立つように行います。実際にこれからやる「三角比の拡張」はそれができている拡張なのです。

もちろんこれは今後便利になる考え方です。もっと言うと他の数学の分野との関連性が見えるようになります。私もまだまだ数学の深淵にはたどり着いてないですが、色々な分野との繋がりが少しづつ見えてきています。

まあ、そんな私の話は置いておき、三角比をもっと考えていきましょう。大事になるのは「単位円」の考え方です。

いったん広告の時間です。

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単位円の上で三角比を考える

三角比を直角三角形の中で考えている間は拡張はできません。それを可能にするのは座標と円です。例えば\(1:2:\sqrt{3}\)の直角三角形を考えてみます。これを座標の上に乗せ、円を描いておきます。次のようにです。

半径1の円(単位円)に直角三角形の斜辺の長さが半径になるように乗せます。すると例えば図のように直角三角形を配置できます。ここで、点\(A\)の座標を求めてみることにします。\(OA=1\)であるので\(1:2:\sqrt{3}\)の関係から、

$$OB=\frac{1}{2}\ ,\ AB=\frac{\sqrt{3}}{2}$$

と分かります。この座標の値をどこかで見たことがないでしょうか。

そうです。まさにこれは\(\cos 60^\circ\)と\(\sin 60^\circ\)の値です。そして\(60^\circ\)という角度は図に書いてある\(x\)軸から斜辺に向かって考えた角度になっています。

今の話から分かることは

\(x\)軸から考えた角度\(\theta\)を示す線と、円の交点の座標は\(x\)座標が\(\cos\theta\)、\(y\)座標が\(\sin\theta\)になっている。

ということです。図でいうとこうなります。

はて、なぜでしょうか。定義に戻って考えてみます。三角比の定義はこの図においては次のようになります。

$$\sin\theta=\frac{AB}{OA}$$

$$\cos\theta=\frac{OB}{OA}$$

\(\tan\theta\)は上の二つがわかれば出せるのでいったん置いておきます。

ここで半径は1なので\(OA=1\)より、

$$\sin\theta=AB$$

$$\cos\theta=OB$$

であります。\(AB\ ,\ OB\)はまさに点\(A\)の\(x\)座標、\(y\)座標に対応するので、どんな時もこの図を書けばある角度\(\theta\)に対する三角比は点\(A\)の座標から求められるのです。

ということはこれを使えば\(90^\circ\)以上の角度であっても三角比を考えられるのではないでしょうか。要するに直角三角形ではなく、この\(A\)という座標でもって三角比を考えるわけです。例えばこんな風にです。

\(120^\circ\)の三角比を考えたい場合は上の図のように線を伸ばし、その交点の座標を求めることにします。この\(A\)の座標は難しくありません。なぜなら今まで考えていた直角三角形が出てきてくれるので長さだけはわかるのです。左にその直角三角形がありますがここからやはり

$$OB=\frac{1}{2}\ ,\ AB=\frac{\sqrt{3}}{2}$$

であります。あくまで\(A\)は座標なので符号に注意すると座標は

$$A\left(-\frac{1}{2}\ ,\ \frac{\sqrt{3}}{2}\right)$$

となります。これを\(120^\circ\)に対する三角比と考えるわけですね。\(x\)座標は\(\cos\)、\(y\)座標は\(\sin\)に対応することが先ほどわかっているので

$$\sin 120^\circ=\frac{\sqrt{3}}{2}$$

$$\cos 120^\circ=-\frac{1}{2}$$

とできるのです。これをもって三角比をもう一度「定義」します。これが三角比の拡張です。これで\(90^\circ\)以上の角度に対しても三角比を考えられるようになりました。

終わりに

今回はここまでとします。まずは大きい角度の三角比が考えられるようになったことを受け入れましょう。これは素晴らしいことです。もちろん「特定の角度」の三角比は今までと同様に覚えることになりますし、今の話から特定の角度が増えたことになります。ですがこの座標平面での三角比のイメージができるとたちまち三角比は直角三角形以上の意味が出てくるのです。これが活躍するのはおそらく三角関数のところですが、ここで押さえればかなり有利です。

ではまた。

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図形と計量
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コメント

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