正弦定理と外接円
正弦定理を紹介した時に外接円については触れなかったので、ここで少し確認したいと思います。
まず「外接円」とは何かというと
三角形の3つの頂点全てを通る円
のことです。イメージできたでしょうか。これを実際に書くと次のようになります。
この外側の円が外接円です。またその円の中心を「外接円」と言います。詳しいことは「図形の性質」の分野でやるのでそちらに譲ろうと思いますが、正弦定理にはこの外接円の「半径」がでてきます。
正弦定理をもう一度上の図に対して当てはめると
$$\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R$$
です。この一番最後の\(2R\)にでてくる\(R\)が外接円の半径です。実は正弦定理は外接円の半径を出すことにも使えるのですね。ちなみに\(2R\)は直径になるので直径と関係していると覚えてもいいですが、私は半径の2倍と覚えることをオススメします。半径で覚えておけば直径と言われてもすぐ分かりますからね。
というわけで実際に使ってみましょう。
上の三角形の外接円の半径を求めてみます。これは難しくありませんね。正弦定理は向かい合う角と辺が式に出てきますからそのセットはもう見えます。それと外接円の半径の2倍(直径)が等しいのですから、
$$\frac{6}{\sin 60^\circ}=2R$$
という式が作れるわけです。\(75^\circ\)という角度も見えますが、その対辺がわかってないので使えなさそうですし、そもそも\(\sin 75^\circ\)は私たちには分かりません。
では計算して答えを求めます。
$$\frac{6}{\frac{\sqrt{3}}{2}}=2R$$
より
$$R=6\times \frac{2}{\sqrt{3}}\times \frac{1}{2}=\frac{6}{\sqrt{3}}=\frac{6\sqrt{3}}{3}=2\sqrt{3}$$
と計算できました。外接円という新しい円の半径はこのようにして求めることができます。
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正弦定理の練習
以上が正弦定理の全てです。ここからは少しだけ使ってみて体に染み込ませましょう。
例えばこんな問題です。
この三角形の辺\(AC\)と、外接円の半径を求めてみましょう。
ここまで見てくださった人は何を考えるべきかわかるでしょう。まず、\(AC\)の長さを求めるます。少し手間取りそうですが、\(75^\circ\)という角度が使えないことがわかると、先に進めそうです。まずは角\(B\)が必要であることがわかるでしょう。
これはもちろん三角形の内角の和が\(180^\circ\)であることを利用します。すると角\(B=60^\circ\)であることがわかるので
となります。ということは正弦定理を使うと、実は前回やった問題と同様に
$$\frac{AC}{\sin 60^\circ}=\frac{\sqrt{3}}{\sin 45^\circ}$$
より
$$AC=\frac{3\sqrt{2}}{2}$$
となります。そして、外接円の半径は使えるところどこでもいいので、
$$2R=\frac{\sqrt{3}}{\sin 45^\circ}$$
もしくは
$$2R=\frac{\frac{3\sqrt{2}}{2}}{\sin 60^\circ}$$
で計算すればいいので、
$$R=\frac{\sqrt{6}}{2}$$
となります。見るべきところをしっかりと確認してください。
ほかにも使うべきところはありますが、まずは
角とその対辺が使われること
と
外接円の半径を求めることができる
の2つを頭に入れておきましょう。
終わりに
正弦定理は特に外接円の半径を出すときに多用します。その後、円の問題にシフトしていくパターンは王道なので一度見ておきたいところです。図形は知識があるだけ力になりますが、それをどこでどう使うかが最重要です。図形分野は大変なところも多いですが一つずつクリアしていってください。
ではまた。
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