三角比の典型的な問題2問
三角比の知識を持ったら、後は使うのみです。実際に使ってみて初めて分かることも多いですし、入試や定期テストで得点をとるためにはこの「演習する」という行為が必要不可欠です。武器を持ったらあとは使い方と、上手に使うこと。ではいきましょう。まずは自力で解いてみてくださいね。
第1問
\(\triangle ABC\)において、\(AB=5\sqrt{3}\ ,\ BC=13\ ,\ \angle ABC=30^\circ\)とする。この時次の値を求めよ。
1. 辺CAの長さと\(\triangle ABC\)の外接円の半径
次に外接円O上の点Aを含まない弧BC上に点Dを\(CD=\sqrt{21}\)になるようにとる。この時次の値を求めよ。
2. \(\angle ADC\)の大きさと辺ADの長さ
情報を整理するために図をまずは書きましょう。こんな感じでしょうか。
自分で書くときはこんなに正確に書く必要はありません。とりあえず三角形と辺の長さ、円が書いてあればOKです。
さてまずは辺ACですが、これは使うものははっきりしていますね。これは余弦定理を使えばよいです。こんな風にです。
$$AC^2=(5\sqrt{3})^2+13^2-2\cdot 5\sqrt{3}\cdot 13\cdot \cos 30^\circ$$
これを計算します。\(\cos 30^\circ=\frac{\sqrt{3}}{2}\)であることを使えば
$$AC^2=49$$
ここまで計算できます。もちろんACはプラスですから
$$AC=7$$
です。このまま外接円の半径も求めてしまいましょう。今わかっている角度は\(30^\circ\)ですから、その対辺であるACの長さがわかれば正弦定理を使えそうです。もちろん今出しましたね。計算しましょう。
正弦定理より外接円の半径を\(R\)として
$$2R=\frac{7}{\sin 30^\circ}$$
\(\sin 30^\circ=\frac{1}{2}\)ですから
$$2R=\frac{7}{\frac{1}{2}}$$
分数に分数が入っていると少し嫌ですが、分数は「上」割る「下」ですから
$$2R=7 \div \frac{1}{2}=7\times 2$$
とするとやりやすいかなと思います。というわけでここから
$$R=7$$
ですね。早々と1は終了です。
つづいて2です。2の条件を図に足しましょう。こんな感じになりますでしょうか。
最初の問題の答えはもう書いてありますが、円周角の定理を利用すれば一発です。弧ACに対する円周角を考えれば\(\angle ADC=30^\circ\)であることがわかります。
円周角の定理は三角比の問題ではよく出てくるので忘れていた人は必ず復習しておきましょう。
最後に辺ADですが、辺を求めたければ三角形に注目します。三角形であれば私たちには武器がたくさんありますからね。\(\triangle ADC\)に注目すればACは7と分かっているので余弦定理を用いることができます。どこだったとしても2つの辺と角一つ分かれば使えるんでしたよね。わかっている角の反対側は\(AC=7\)ですから、
$$7^2=AD^2+(\sqrt{21})^2-2\cdot AD\cdot \sqrt{21}\cos 30^\circ$$
あとは計算して整理しましょう。すると
$$AC^2-3\sqrt{7}AD-28=0$$
となります。これは2次方程式ですね。因数分解が無理そうであれば解の公式を使ってください。実は今回はうまく因数分解できて
$$(AD-4\sqrt{7})(AD+\sqrt{7})=0$$
より
$$AD=4\sqrt{7}$$
となります。どうでしたか?出来たら三角比の基本はバッチリですね。
第2問
四角形ABCDは円Oに内接し、\(AB=BC\ ,\ CD=1\ ,\ DA=5\ ,\ BD=\sqrt{21}\)であるとする。この時\(\triangle ABD\)と\(\triangle BCD\)に注目して辺ABの長さと\(\angle BAD\)を求めよ。
また円Oの半径と、四角形ABCDの面積を求めよ。
これもやはり情報整理から、まずわかる情報を書くとこんな感じの図になります。
今欲しいのは辺ABの長さです。それを\(x\)で置きました。条件から辺BCも\(x\)になります。さて、情報はここまで。どうしましょうか。
ここで考えるべきことはこの四角形は円に内接していることです。ということは今欲しい\(\angle BAD\)が絡んでこんな関係が思いつくはずです。
そうです。円に内接する四角形は向かい合う角の和は\(180^\circ\)であったはず。ということは今欲しい角度を\(\theta\)とすると、その対角の\(\angle BCD\)は
$$\angle BCD=180^\circ-\theta$$
ですね。四角形についてわかることはここまで。あとは三角形に移ります。
問題では2つの三角形に注目しなさいと言っています。これは角度が一つずつですからおそらく余弦定理でしょう。それぞれの三角形について使ってみます。
\(\triangle ABD\)について余弦定理
$$(\sqrt{21})^2=x^2+5^2-2\cdot x\cdot 5\cdot\cos\theta$$
\(\triangle BCD\)について余弦定理
$$(\sqrt{21})^2=x^2+1^2-2\cdot x\cdot 1\cdot\cos(180^\circ-\theta)$$
2つの文字で2つの式ができましたが\(\cos(180^\circ-\theta)\)はどうしましょう。
なんてことはありません。互いに補角な角度なので
$$\cos(180^\circ-\theta)=-\cos\theta$$
だったはずです。すなわち
$$(\sqrt{21})^2=x^2+5^2-2\cdot x\cdot 5\cdot\cos\theta$$
$$(\sqrt{21})^2=x^2+1^2-2\cdot x\cdot 1\cdot(-\cos\theta)$$
となるわけです。あとはこれを解くのみ。文字をひとつ消すことができれば解けます。
とはいったものの、これ解けますでしょうか。最初は普通に難しいと思います。これを解くコツはまずは2つの式を使ってもう一つ条件を作ることです。
まずは少し整理しましょう。
$$x^2-10x\cos\theta+4=0$$
$$x^2+2x\cos\theta-20=0$$
となります。そうしたらまず連立方程式のように上の式から下の式を引きます。これは\(x^2\)を消すためです。引くと
$$-12x\cos\theta+24=0$$
となって、もう少し整理すれば
$$x\cos\theta=2$$
となります。今条件式として出てきた式はまた元の式に入れても成り立たなければならないので式(18)か式(19)に入れて計算します。式(18)に入れれば
$$x^2-10\cdot 2+4=0$$
となるのでこれで\(x\)が出せます。整理して
$$x^2=16$$
より
$$x=4$$
です。
また式(21)から\(\cos\theta\)もわかって
$$\cos\theta=\frac{1}{2}$$
ですから、これを満たす角度\(\theta\)は
$$\theta=60^\circ$$
です。よって
$$AB=4\ ,\ \angle BAD=60^\circ$$
です。
正念場はここまで。残りはサクサクできるはずです。\(\triangle ABD\)にとって円Oは外接円ですから、正弦定理から
$$2R=\frac{\sqrt{21}}{\sin 60^\circ}$$
より計算すると
$$R=\sqrt{7}$$
です。また四角形の面積は三角形に分けて考えればいいですね。三角形の面積なら公式という武器があります。
\(\angle BCD=120^\circ\)であることを考慮すれば
$$\triangle ABD=\frac{1}{2}\cdot 4\cdot 5\cdot \sin 60^\circ=\frac{1}{2}\cdot 4\cdot 5\cdot \frac{\sqrt{3}}{2}=5\sqrt{3}$$
$$\triangle BCD=\frac{1}{2}\cdot 4\cdot 1\cdot \sin 120^\circ=\frac{1}{2}\cdot 4\cdot 1\cdot \frac{\sqrt{3}}{2}=\sqrt{3}$$
より四角形ABCDの面積は
$$四角形ABCD=\triangle ABD+\triangle BCD=5\sqrt{3}+\sqrt{3}=6\sqrt{3}$$
です。長い旅でした。
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終わりに
三角比の問題はどうでしたでしょうか。できた人はどんどん違う問題にチャレンジしてみてください。できなかった人は何度も復習して自分に足りない「武器」を見つけることと、その使い方をこの記事から学んでください。余弦定理と正弦定理は大活躍なので必ず覚えてくださいね。
ではまた。
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