シグマの基本的な公式
前回はシグマの意味と性質について触れました。今回は実際に計算するための準備とそれを使った例題をいくつか解いてみましょう。
まず準備しなければいけないのは次の4つの和です。
$$\sum_{k=1}^n 1$$
$$\sum_{k=1}^n k$$
$$\sum_{k=1}^n k^2$$
$$\sum_{k=1}^n k^3$$
これが計算できていれば前回学習した性質を使って多くの問題を解くことができます。ではいきましょう。
$$\sum_{k=1}^n 1$$
この和の意味するところは、一般項部分が全く\(k\)によらないのでずーっと同じ数字が続くという和になります。すなわち、
$$\sum_{k=1}^n 1=1+1+1+…+1$$
何個続くかというと、\(k=1\)からnまでn個なので、1のn倍で
$$\sum_{k=1}^n 1=n$$
となります。形に惑わされないでくださいね。
$$\sum_{k=1}^n k$$
次にこの和ですが、これは書き下すと
$$\sum_{k=1}^n k=1+2+3+4+…+n$$
となります。\(k\)に1を入れたものが初項、\(k\)に2を入れたものが第二項・・・となるのでしたね。この数列は紛れもなく初項1、公差1の等差数列ですから等差数列の和の公式を使って
$$\sum_{k=1}^n k=\frac{1}{2}n(n+1)$$
と計算できます。
次です。次はそれぞれの項が二乗をされたものの和を考えてみましょう。
$$\sum_{k=1}^n k^2=1^2+2^2+3^2+…+n^2$$
実はこれは証明が面倒です。後でちゃんと示しますが今は次のようになるということを認めて先に進むことにします。これは
$$\sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$
と計算できることがわかっています。
また同じくして三乗も証明が面倒なのでまずは認めてもらって、後で証明を書きましょう。三乗はこうなります。
$$\sum_{k=1}^n k^3=1^3+2^3+3^3+…+n^3=\left(\frac{1}{2}n(n+1)\right)^2$$
これ以上はほとんど出てこないので覚えなくても大丈夫でしょう。後々二乗、三乗の公式を証明する時についででやるかもしれないです(かもです)。
まとめるとシグマ記号の公式は
$$\sum_{k=1}^n 1=n$$
$$\sum_{k=1}^n k=\frac{1}{2}n(n+1)$$
$$\sum_{k=1}^n k^2=\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$$
$$\sum_{k=1}^n k^3=\left(\frac{1}{2}n(n+1)\right)^2$$
となります。正直上の2つは公式でも何でもないですね。
いったん広告の時間です。
シグマ記号の計算例
というわけでこれらを使って前回途中で終わっていた計算を続けてみましょう。
前回はシグマの性質を使って
$$\sum_{k=1}^n (3k^2+5k+3)$$
が
$$3\sum_{k=1}^n k^2+5\sum_{k=1}^n k+3\sum_{k=1}^n 1$$
まで変形できていました。あとは今回学習した形が出ていますので当てはめて計算を続けるだけです。やってみると
$$3\sum_{k=1}^n k^2+5\sum_{k=1}^n k+3\sum_{k=1}^n 1$$
$$=3\cdot \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)+5\cdot \frac{1}{2}n(n+1)+3n$$
$$=\frac{1}{2}n(n+1)(2n+1)+\frac{5}{2}n(n+1)+3n$$
$$=\frac{1}{2}n[(n+1)(2n+1)+5(n+1)+6]$$
$$=\frac{1}{2}n(2n^2+8n+12)$$
です。どこまでまとめるかは難しいところですが、基本的にかけ算の形で書けていることが理想です。公式さえ覚えておけば簡単ですね。
終わりに
どうでしたでしょうか。公式をうまく使うことができれば難しくはないはずです。ただ、まとめるところがすこし複雑なのでそのコツも含めて次回以降考えていきたいと思います。実はまだもう一つ和の公式は残っています。和の公式と言いたくないですが…とまあ今回はこの辺りにしておきましょう。
ではまた。
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