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三角関数の極限と考え方

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この記事で学べること

・\(\sin\ ,\ \cos\ ,\ \tan\)の極限があるのか、ないのか

 

・\(\sin\ ,\ \cos\) のグラフ

 

・\(\tan\) のグラフからわかる片側極限をする理由

三角関数に極限はない?

さて、前回は指数と対数の極限について学びましたがもう一つ大事な関数がありますね。

そうです、三角関数です。

三角関数は変数が角度です。つまり三角関数において極限を取るということは

 

プラス、マイナスの角度をどんどん大きくしていくと値がどうなるか

 

を考えることと同じです。さて、これはどうでしょうか?何か決まった値に落ち着くのでしょうか?

答えは一部ノーですね。なぜなら三角関数のうち \(\sin\) と \(\cos\) は

 

 

の単位円をグルグル回る時の \(x\) 座標と \(y\) 座標がそれぞれ \(\sin\) と \(\cos\) でした。ですから角度を大きくしても小さくしてもある値に近づいていくことはありません

グラフを書いてもそれは明らかです。久しぶりに見るかもしれませんが \(\sin\) と \(\cos\) のグラフはそれぞれ

 

 

このようになります。見てわかる通りどれだけ角度を大きくしても周期的に同じ値が繰り返すだけです。ですから \(\sin\) と \(\cos\) については角度を無限大に持っていっても極限はありません

もちろん角度を( \(0\) も含めて)ある値に近づければ極限値は存在します。

では三角関数では特殊な極限などというものはないのでしょうか。

いったん広告の時間です。

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タンジェントはどうか

しかしながら三角関数の中で極限をしっかりと考える必要があるものが。それが タンジェント ですね。

\(\tan\) は \(\sin\)、 \(\cos\) と違って少し特殊です。何が特殊かというと、角度によって定義できないことがあったということ。少し思い出してみると

 

\(\displaystyle \tan\frac{\pi}{2}\)

 

などは定義できなかったはずです。なぜならタンジェントは

 

 

でいうところの直線の傾きだったので角度を \(90^{\circ}\)とか \(270^{\circ}\) とかに近づけると値が分からないほど大きくなってしまうのでした。

 

ですがそれはまさに私たちが扱える(?)ようになった無限大というやつですね。

 

つまり極限の言葉で書けば、いまの \(\displaystyle 90^{\circ}=\frac{\pi}{2}\) に近づけるとと言った言葉は

 

\(\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}} \tan x\)

 

と書けるわけです。つまりタンジェントは極限を考える意味があります。まあ、無限大になるってことは発散なので計算としてはあまり面白くはありませんが…

グラフで見ればさらにわかりやすいです。タンジェントのグラフは

 

 

のようになることを数学Ⅱで学びましたので、やはり

 

\(\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}} \tan x=\infty or -\infty\)

 

となりそうなことが頷けます。グラフのイメージと一緒に覚えてしまいましょう。

 

ただし、ひとつ非常に重要なことがあります。それはグラフを見ればわかりますが

 

近づけ方でプラス無限大かマイナス無限大かが変わる

 

ということです。これはまさに片側極限でやったことです。

例えばグラフを見れば

 

\(\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}-0} \tan x\)

 

 

 

\(\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}-0} \tan x=\infty\)

 

ですが、逆にプラスから近づけると

 

\(\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}+0} \tan x=-\infty\)

 

ですね。問題を解く時には十分注意してください。

というわけで長くなりましたが、三角関数の極限でまず覚えておきたいことは

 

 

Focus

\(\sin\), \(\cos\) 自体には極限が存在しない。

 

 

\(\tan\) は \(\displaystyle\frac{\pi}{2}\ ,\ \frac{3}{2}\pi\)と言った角度で発散する。

ただし近づけ方で極限が変わるので注意。

 

\(\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}-0} \tan x=\infty\)

 

\(\displaystyle \lim_{x\to\frac{\pi}{2}+0} \tan x=-\infty\)

 

まとめ

三角関数の極限はそれ単体では出てきづらいですが、グラフとの対応は非常に重要です。数学2ではあまり使わなかったと思いますのでここでしっかりと復習しておくと良いでしょう。これで基本の関数の極限はマスターできました。ただし、ここで出てきた三角関数の極限はそこまでたくさん出てくるわけではなく、この後学ぶ三角関数の最重要極限公式が今後の極限計算の方針になりますのでしっかりと学びましょう。

ではまた。

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関数と極限
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コメント

  1. […] 今回はそのうち指数関数と対数関数について考えることにします。三角関数はこちらで解説しています。 […]

  2. スワン より:

    他のサイトでは三角関数の極限公式の証明を取り扱うものばかりで、初めて三角関数の極限を学ぶ身としてはちょっと面食らう内容でした。それに対し、この記事ではsinとcosが周期的に同じ値を繰り返すだけで、角度を無限大にしても極限がないことが説明されていて、それがなぜ三角関数の極限には公式が必要なのかという疑問を解消するもので面白かったです。

    話は変わりますが、tanのπ/2における右側極限と左側極限の値が反対?のような気がします。
    片側極限を学んだばかりなので間違って覚えてしまっているのかもしれません。お時間のある時に確認していただければと思います。

    • da Vinch da Vinch より:

      スワン様

      いつも当サイトを見てくださりありがとうございます。そしてコメントありがとうございます。管理人の da Vinch です。
      管理人としてとても嬉しいコメントです。難しい内容ではあるのですが、少しでも理解の助けになれば幸いです。これからも当サイトを活用くださるとそれ以上の喜びはありません。

      さて、後半のご指摘の件ですが指摘の通り間違っています。大変申し訳ございません。
      先ほど修正しましたのでご確認いただけると幸いです。学びたてにもかかわらずよく理解されていて脱帽でございます。

      また何かありましたらご指摘いただけると幸いです。
      今後記事のブラッシュアップもしていく予定ですが、気づかないミス等もあると思いますのでぜひコメント下さいませ。

      今後とも当サイトをよろしくお願いします。

      da Vinch